【英会話には英文法はいらない?】英会話に必要な英文法の学習方法
「英会話のために英文法の学習は遠回り!」なんて思っていないでしょうか?
英会話には英文法が必須で、英会話に入る前に英文法をきっちり学習しておくことで、その後の学習を効率的に進めることが出来ます。
この記事では、以下の疑問・悩みに答えていきます。
・なんで英会話に英文法が必要なの?
・英文法は英会話の中で自然と身につくもの?
・英会話に必要な英文法の勉強法は?
・英会話に必要な英文法の学習ポイントは?
・英会話に必要な英文法の学習におすすめのテキストは?
英会話における英文法の役割をしっかり抑えておきましょう!
英会話に英文法が必要な理由
英会話に英文法が必要な理由を2つ挙げます。
- 相手の発言が理解できなくなるため
- 自分の意図を適切に伝えづらいため
1つずつ解説していきますね。
理由①相手の発言が理解できなくなるため
英文法が分からないと、リスニングで相手の言っていることが理解できなくなります。
英文法は簡単に言えば、英単語を並べるときのルールです。
このルールに沿って文章の意味が成立するので、英文法が分からないと英会話で相手の言っていることが正しく理解できなくなってしまいます。
また英文法はリスニングにおいて「先の予測」に役立ちます。
リスニングは速いスピードで次から次へと英文が読まれていくうえ、リーディングのように見返すことが出来ません。
一度で聞き取るためには、先を予測することが不可欠です。
英文法は先述の通り「ルール」ですから、「こうなったら、こう」という展開がリスニングにおいて分かるようになります。
理由②自分の意図を適切に伝えづらいため
理由①では、英文法の不足が情報を正しく受け取るのに障害となる、と書きました。
反対に言えば、英文法の不足は自分から情報を正しく発信する上でも障害となります。
英文法というルールに則っていない場合、発信する英語もメチャクチャな内容になります。
「ジェスチャーで伝わる!」という方もいますが、相手への負担を考えると出来ることなら避けましょう。
英文法は会話の中で自然と身につく?
「毎日英会話をしていれば、自然と英文法は身につくか?」という質問に対しては、ある程度身につくかも知れないが非常に効率が悪いと言わざるを得ません。
英会話をしていく中で、身につく知識は虫食い的なもので、それぞれが独立した断片的な知識であるため、非常に覚えづらいです。
また他の場面でも通用する「ルール」として認識出来ないため、得られた知識は応用が効かないものなります。
例えば、英会話の中で「cause O to do」という英文法を認識したとします。
「cause O to do」のような形を取る動詞は他にも複数ありますが、文法を学習していない人はそんなことには気づきません。
causeの語法を獲得しても、他の「tell O to do」「ask O to do」という知識はこれらが次に英会話に登場・認識するまで獲得できないことになります。
英文法を体系的に学習する場合は、これらの知識を整理して、まとめて覚えられるので定着もよく、普段の英会話レッスンに登場していない表現でもルールを応用させて使いこなすことが出来るようになります。
英会話に必要な英文法のレベルは?
日常英会話に必要なのは中学レベルの英文法、ビジネス英会話に必要なのは高校レベルの英文法です。
日常英会話は中学レベルの英文法でOK
日常の簡単なやり取りを英語で行うのをゴールにする場合、文法は中学レベルでOKです。
日常英会話を習得するためには大卒の人で、独学で約860時間かかりますが、中学レベルの英語に絞って学習すればこの時間は大幅にカットできる可能性が高まります。
日常英会話のレベルとはどれくらい?なぜ860時間かかると言えるのか?などについては以下の記事で詳しく解説しています。
ビジネス英会話は高校レベルの英文法でOK
日常英会話を超えて、ビジネスで英会話を使いたい場合は高校英文法まで学習しましょう。
ビジネス英会話を習得するためには大卒の人で、独学で約2,800時間かかりますが、基礎的な事項に絞って学習すればこの時間は十分縮められます。
ビジネス英会話といっても、基本にあるのは中学英語です。
まだ中学英語を十分に使いこなせない場合は、焦らずに中学英語をしっかり固めるのが近道です。
ビジネス英会話のレベルとはどれくらい?なぜ2,800時間かかると言えるのか?などについては以下の記事で詳しく解説しています。
英会話に必要な英文法の勉強法は?
英会話に必要な英文法を身につける場合、やみくもに進めるのではなく、見通しを持って学習をしましょう。
ゼロからの学習で、最終的には様々な実践的表現を身につけていく段階までを5つのステップにまとめました。
自分のレベルに合わせてスタートするといいでしょう。
ただし、決して背伸びはしないほうがいいです。
中学レベルの文法事項ならすべて理解はしている、というのならステップ2からスタート、その時点で怪しいならステップ1からでOKです。
(私はTOEIC860で英会話に自身がないとき、ステップ2からスタートしました。)
ちなみにステップ3から始めたい人もいるかも知れませんが、ここから始められる方はそもそも日常的な英会話に苦手意識がないはずです。
英会話に必要な5ステップ英文法勉強法
合格ライン
- 中学レベルの英文法を理解し、読む・聞く上で活用できる
- 英検3級が余裕を持って取れるレベル
合格ライン
- 中学レベルの英文法を使って、日常英会話が出来る
- 英会話テストでCEFR B1レベルに到達している
合格ライン
- 高校レベルの英文法を理解し、読む・聞く上で活用できる
- 英検2級が余裕を持って取れるレベル
合格ライン
- 中学レベルの英文法を理解し、読む・聞く上で活用できる
- 英会話テストでCEFR B2レベルに到達している
自分の目的・趣向に合わせた表現集をインプットしていくといいでしょう。
理解と内在化の違いは?
英文法の理解というのは、参考書などで英文法を学んでそれらをインプット(読み・聞き)に使うことができる状態です。
英文法の内在化というのは、英文法を理解した上でスピーキングで使える状態にすることです。
内在化の前には必ず理解が存在しますが、学校英語やTOEICので勉強では英文法の理解はすれど、内在化までは行いません。
下の図はTOEICが900あっても英会話が苦手な人と、TOEICが550でも英会話が得意な人の知識についての概念図です。
TOEIC900の人はインプットで使える知識はたくさんありますが、使えるレベルの内在化した知識の量は少ないです。
一方、TOEIC550でも英会話が得意な人は、知っている知識は少なくてもそのほとんどが使える知識にまで内在化されているので、スピーキングになるとこちらの方が得意になるというわけです。
理解ばかりを先に進めてしまうと知っている知識と使える知識の差が激しくなってしまいます。
ですから、上で述べた5ステップの学習法では「中学英文法の理解→内在化→高校英文法の理解→内在化」というステップを踏んでいます。
英会話に必要な英文法の学習ポイント
英会話に必要な英文法学習の上で気をつけるべきポイントを9つ紹介します。
- 問題を解く
- 五感を使う
- 人から直接習う
- 丸暗記しようとしない
- 教材を頻繁に変えない
- テキストを前から順番に取り組む
- 最初からすべて理解しようとしない
- 紙のテキストとアプリを上手に活用する
- 「知っている」と「使いこなせる」は違うことを抑える
1つずつ解説していきます!
①問題を解く
英文法の勉強はテキストを読むだけにせず、きちんと問題演習まで行いましょう。
問題演習はテストのためにするわけではありません。
問題演習では学んだことが身についているか、正しい理解が出来ているかというのを様々な角度から検証する役割があります。
テキストを読んで分かったつもりになっていても、演習で間違える場合は深い理解が出来ていないということです。
テキストを読んだ後は、必ず該当範囲の問題を解いて正しい理解が出来ているかをチェックしましょう。
②五感を使う
テキストの例文を読むときも、問題を解くときも見ているだけにならないようにしましょう。
まとめるべきところは書いてまとめ、例文は声に出して発音しましょう。
見るだけ、というのは速く進められますがその分記憶への定着も弱いです。
五感を使って、運動記憶と連携させることでより学びが深くなります。
③人から直接習う
可能であれば、文法は人から習うのが一番早くて間違いがないです。
文法はとかく勘違いをしやすい分野ですから、疑問やモヤッとする部分はその場で対話的に聞きながら解決していくのが一番です。
社会人の方でも、社会人向けのティーチングをしている講師は大勢いるので、時間・金銭的な余裕があればぜひ生の講義を受けてみてください。
④丸暗記しようとしない
文法を使いこなせる、というのは文法事項を丸暗記することと同義ではありません。
特にテキストを読んでいく段階では、丸暗記は不要です。
一つ一つの文法事項を理解することで、後に行う瞬間英作文などの内在化トレーニングで覚えた例文を正しく運用できるようになります。
⑤教材を頻繁に変えない
一度使うと決めた教材は最後までやり抜きましょう。
参考書をたくさん持っている人に限って、案外定着していないことが多いです。
英文法は繰り返し学習してはじめて血肉になるものですから、1,2周したところで理解・定着出来なくても諦めないでください。
最新の教材やインフルエンサーがおすすめしている教材に浮気したくなっても、最初の1冊を最後まで仕上げたほうが絶対に定着します。
⑥テキストを前から順番に取り組む
文法のテキストは前に配置されている知識を使って、後の知識が分かるようになっています。
どうしても分からないところは一旦飛ばしてもOKですが、基本的に前から順番に進めていくのがいいです。
⑦最初からすべて理解しようとしない
英文法を1周目で理解できたら天才です。
多少わからないところがあった場合、ずっとそこに時間を費やすよりも「2周目で理解できることもある」と割り切って進めてしまいましょう。
今までの生徒さんの傾向からすると、1周あたりに吸収できる知識の量には限界があるようです。
特にはじめて学ぶ場合、新しく学ぶことが多すぎると消化不良になります。
反対に言えば、回数を重ねるごとに新しく知識が定着していくので、完璧な理解を最初から求めないようにしましょう。
⑧紙のテキストとアプリを上手に活用する
英文法を学ぶ手段は、テキスト以外にもアプリが便利です。
電車の中やちょっとしたスキマ時間に、テキストを持ち歩いて、開いて勉強するのは億劫ですよね。
アプリなら、携帯性がありいつでもどこでもパッが勉強が出来るので家では紙のテキスト・出先ではアプリを使うなどがおすすめです。
⑨「知っている」と「使いこなせる」は違うことを抑える
英会話のための英文法の前提として、英文法を「知っている」というのでは不十分です。
学校教育では英文法を「知っている」状態になります。
しかし、「使いこなせる」ようにはなりません。
「使いこなせる」というのは、英文法を理解した上で、分かっていることを瞬時にできるようになるまで繰り返しトレーニングを終えた段階です。
英会話で求められる英文法はこの「使いこなせる」レベルですから、すでにTOEIC900を持っているような方でも中学レベルの英文法の繰り返しトレーニングを行うわけです。
英会話に必要な英文法の学習におすすめの教材
中学英文法の理解におすすめの教材
「中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。」は中学英文法をイラスト付きで易しく解説したテキストです。
Youtubeに講義動画も上がっているので、中学英文法をゼロから丁寧に取り組みたい方におすすめです。
「中学全範囲英文法パターンドリル」はドリルという名前がついている通り、中学の各文法事項に対して簡単なまとめがついており、後は演習のみになります。
中学英文法に100%の自信はないけど、サクッとまとめを読みながら演習を通して確認したい方におすすめです。
上の参考書とどちらか1冊でいいです。
中学英文法の内在化におすすめの教材
中学英文法の理解を終えた人、あるいは理解はもともと出来ているから使えるレベルに引き上げたい方におすすめのテキストです。
「どんどん話すための瞬間英作文トレーニング」は有名な「瞬間英作文」の代表的なテキストです。
音で日本語を聞いて、ポースの間に英語がすべて出るようになるまでやり込むのがおすすめです。
「英語のハノン初級」は割と新し目のテキストですが、瞬間英作文との違いは「ドリル要素がある」ということです。
瞬間英作文は、暗記の要素が強いですがこちらは主語や肯定文を否定文に変えながらといったようなドリルが中心になっています。
お好みでどちらかを完走すればいいと思います。
高校英文法の理解におすすめの教材
英会話に必要な高校英文法は基礎的なものでOKです。
大学受験で問われるような細かい知識などは不要です。
「Mr.Evineの英文法ブリッジコース」は中学の英文法をざっと復習して、高校基礎までを学習できます。
高校英文法の内在化におすすめの教材
ビジネス英語で通用する高校レベルの幅広い表現を使いこなせるようになるには、中学英文法の内在化におすすめのテキストとして挙げたハノンシリーズの上位「英語のハノン中級」「英語のハノン上級」がおすすめです。
関係代名詞や接続詞を使って、高級な文章を生成できるようになります。
まとめ
この記事では以下の悩み・疑問に答えてきました。
・なんで英会話に英文法が必要なの?
・英文法は英会話の中で自然と身につくもの?
・英会話に必要な英文法の勉強法は?
・英会話に必要な英文法の学習ポイントは?
・英会話に必要な英文法の学習におすすめのテキストは?
1つ目の疑問「なんで英会話に英文法が必要なの?」に対しては以下の2つの理由を挙げました。
- 相手の発言が理解できなくなるため
- 自分の意図を適切に伝えづらいため
2つ目の「英文法は英会話の中で自然と身につくもの?」については「ある程度身につくかも知れないが非常に効率が悪い」と結論づけました。
3つ目の「英会話に必要な英文法の勉強法は?」については以下の5ステップでの勉強法を紹介しました。
合格ライン
- 中学レベルの英文法を理解し、読む・聞く上で活用できる
- 英検3級が余裕を持って取れるレベル
合格ライン
- 中学レベルの英文法を使って、日常英会話が出来る
- 英会話テストでCEFR B1レベルに到達している
合格ライン
- 高校レベルの英文法を理解し、読む・聞く上で活用できる
- 英検2級が余裕を持って取れるレベル
合格ライン
- 中学レベルの英文法を理解し、読む・聞く上で活用できる
- 英会話テストでCEFR B2レベルに到達している
自分の目的・趣向に合わせた表現集をインプットしていくといいでしょう。
4つ目の英会話に必要な英文法の学習ポイントは?については以下の9つを紹介しました。
- 問題を解く
- 五感を使う
- 人から直接習う
- 丸暗記しようとしない
- 教材を頻繁に変えない
- テキストを前から順番に取り組む
- 最初からすべて理解しようとしない
- 紙のテキストとアプリを上手に活用する
- 「知っている」と「使いこなせる」は違うことを抑える
最後5つ目の「英会話に必要な英文法の学習におすすめのテキストは?」については以下の7冊を紹介しました。
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