英語の音読のコツをどこよりも詳しく解説!

英語学習で多くの人が取り組んでいる「音読」ですが、学校で取り組んだことがある、という方も多いのではないでしょうか?

しかし、一口に音読と言っても人によって音読の範囲や取り組み方というのは大きく異なります

ポイントを抑えず、効果や目的も分からず音読をしても効果は薄いです。

この記事では、第二言語習得理論と実際に自分が音読をした経験をもとに英語の音読を効果的に行うためのコツを紹介します。

  1. 1つの教材を繰り返す
  2. レベルに合った教材で行う
  3. 音声付きの教材で練習する
  4. 音源の発音をそっくり真似する
  5. 先に発音・英文法を勉強しておく
  6. 英文を理解・分析した上で音読する
  7. 定期的にチェックする(添削を受ける)
  8. 英文の意味をイメージしながら音読する
  9. トレーニングにバリエーションをもたせる
Kai

理論と実践のハイブリッドでお伝えしていきます!

目次

音読のコツ①1つの教材を繰り返す

音読は繰り返し取り組んでみましょう。

目的によって回数は変えていいですが、初学者や英語の基礎回路を作るために音読を取り入れるなら1つの教材を最低60回は繰り返し音読しましょう。

「何回やったらOK」というマジックナンバーはありませんが、私の体感としては簡単過ぎる教材なら60回程度、それ以上なら100回読んだ時に明らかな効果を実感しました。

とはいえ、音読はただ繰り返せばいいものではありません。

しっかりと「音読を行うことでどんな能力を鍛えたいのか」を意識することによって、成果は大きく異なります。

音読にどんな学習効果があるかについては、以下の記事で詳しく解説しています。

音読のコツ②レベルに合った教材で行う

音読を行う際、目的に合わせて教材レベルを適切に設定しましょう。

例えば、以下のような形です。

  • 難しい英文を読めるようになりたい
    →実力+1のレベルの教材を繰り返しの数が15回程度になるように音読する。音はあまり使わなくてもいい。
  • 英文を読むスピードを上げたい。リスニング力を上げたい。総合力を上げたい。
    →中学レベルの英文からスタートして、音をふんだんに取り入れて回数を多く読む。

難しい英文を読めるようになりたいなら、新しい知識を入れるために、自分の実力よりも少し上のレベルの教材がおすすめです。

読み終えた英文は新しい知識を定着させ、次に同じレベルの英文に立ち向かう際に運用できるように15回ほど音読すればいいでしょう。

自分のキャパシティの限界に近い英文で読むわけですから、リスニングの教材としては難しすぎます。

音は使わずに(発音が分からない場合は1回聴きましょう。)練習してOKです。

英文を読むスピードを上げたい、リスニング力を上げたい、総合力を上げたいという場合は、繰り返しあらゆる刺激を入れて知識を内在化させるのが目的です。

内在化のためには圧倒的な繰り返しの数が必要ですから、コツ①でも紹介したように100回目安で読みましょう。

100回と言っても、ただ100回テキストを読むのではなく、バリエーションを持たせることで飽きずに・効率的に音読の結果を得ることが出来ます。

バリエーションについては、後述します。

音読のコツ③音声付きの教材で練習する

音読トレーニングの際に、音声は必須です。

学校では、あまり音源を使わずに文章をひたすら黙読することが多かったかもしれませんが、そのせいもあって日本人はリーディングに比べて、リスニング能力が弱いです。

音読の際に、音声を取り入れてトレーニングすることでリスニング能力を飛躍的に高めることが出来ます。

音読のコツ④音源の発音をそっくり真似する

受講者さんに音読をしてもらうと、音源を使わずに自分なりの発音をしていたり、音源を聞いていても音源とはまるで違う発音をしてしまっていたりすることがあります。

せっかく音源を聞くなら、音源をそっくりそのまま真似て発音してみましょう。

音源をそのままそっくり真似ることで

  • 発音がよくなる
  • リスニング力が向上する

というメリットがあります。

発音が良くなるのは想像に難くないと思いますが、実は発音をしっかりと矯正することでリスニング能力が向上します。

英語の発音は日本語と全く違い、①音素②音声変化という2つの要素のために聞き取りが難しくなります。

get out ofは実際には「ゲラウロブ」と読まれますが、「ゲット アウト オブ」だと思って読んでいるうちは、次に同じ英語が出てきた時に聞き取れません。

しっかり音源を真似ていくとうまく発音出来ない箇所、自分が思っているのと違う発音になっている箇所に気づきます。

そこはまさに、①音素②音声変化の問題で聞き取れなくなっているのです。

発音を真似ることで、自分の聞き取りを妨げる原因となっている箇所が分かるので、ぜひ音読をするときには音源の発音をなるべくそっくり真似てみましょう。

音読のコツ⑤先に発音・英文法を勉強しておく

音読の前に、発音・文法の基礎は習得しておきましょう。

第二言語習得理論によると、英語学習では「意味を理解したインプット」を大量に行うことが大切です。

文法が分からない状態で、音読をしているということは意味も分からない情報を繰り返しているだけなので力は付きません。

中学レベルの英文で音読するなら中学レベルの英文法を、高校レベルの英文で音読するなら高校レベルの英文法を習得してから音読に入りましょう。

音読のコツ⑥英文を理解・分析した上で音読する

音読は間違った発音のまま取り組むと効果が薄く、スクリプトと実際の音源の聞こえ方が異なるポイントがあっても自分で分析ができないということになってしまいます。

例えば、It isは「イット イズ」ではなく、「イリィズ」という読まれ方をすることがあります。
このとき音声変化の知識があれば、/t/の音が母音に囲まれているから「イロイズ」と変化し、さらにitの語末の/t/とisの語頭の/ɪ/が連結して、「イリィズ」となることが分析できれば、聞こえ方がなぜそうなるかがわかりますし、次に似たような音を聞いた時に自然と聞き取れるようになります。

学校英語では、読んだ英文の英単語の意味や文法事項をすべて明らかにしながら進めていきますよね。

しかし、リスニングの復習となるとなぜか「もう1回聞いて終わり」で済ませてしまう人が多くなります

音素と音声変化を習得した後なら、しっかりと聞き取れない箇所の分析が出来るはずです。

分析が終わった後の英文を繰り返しリスニングすることで、徐々に力がつきます。

まさに、リーディングした英文の意味をすべて解き明かした後に読み込めば力がついて次に同じレベルの英文を初見でも読めるようになる、というのと同じ感覚です。

音読のコツ⑦定期的にチェックする(添削を受ける)

音読の効果を最大化させるためには、定期的に添削を受けるのがおすすめです。

添削を受けるのが難しい場合は、自分で録音した音声を聞いてみましょう。

チェック・添削のポイントとしては

  • 英文の意味を正しく解釈できているか
  • 英文を正しい位置で区切りながら、前から解釈できているか
  • 発音が正しく出来ているか(音素・音声変化・イントネーション)

といったポイントがあります。

特に発音・リスニングに関しては、プロから添削を受けることでより高い効果が期待できます。

以下の画像は実際に受講者さんの発音が怪しい箇所を音声変化をもとに分析して、「なぜ聞き取れないのか?」を音声変化をもとに分析した例です。

受講者さんにも同じものを書いてもらいますが、聞き取れていない箇所では音声変化の分析が間違っていることがほとんどです。

このように添削を受けることでしっかりと自分の弱点にフォーカスしたリスニング学習ができるようになるわけです。

音読のコツ⑧英文の意味をイメージしながら音読する

英文を音読する時に多いのが、「空読み」になっていることです。

空読みとは、文字を音声化するだけで意味解釈に頭を使っていない状態です。

音読する時には、文構造をもとに前から意味を取りながら英文が示している意味をイメージしながら音声化しましょう。

始めは難しいですが、意識一つで実際に英文を読む・聞くときにも音と一緒に意味をイメージできるようになります。

リーディング・リスニングのときに、後ろから文構造を取って、きれいな日本語に直すのは辞めましょう。

実際に私は英語の文章を読む・聞くときは、以下のような形で解釈を進めています。

This book is the first of its kind in the second language (L2) that is entirely devoted to discussing motivational strategies, that is, methods and techniques to generate and maintain the learners’ motivation.

この英文をスラッシュで区切ると…

This book is the first of its kind / in the second language (L2) / that is entirely devoted / to discussing motivational strategies, / that is, / methods and techniques / to generate and maintain / the learners’ motivation.
→この本は最初の類の本です。第二言語習得に関する。完全に専念している。モチベーション戦略の議論に。つまり。方法と技術です。生み出して維持するための。学習者のモチベーションを。

簡単で短い文章だったら、後ろから意味を取っていてもなんとかなるかも知れませんが文章が長く、複雑になってくるとこのように前から意味を取っていく技術が必要になってきます。

始めは上のスラッシュで区切った訳が不自然に感じるかも知れませんが、次第に慣れてくると日本語の語順で読んだときと同じような理解が得られるようになります。

リスニングでは、英文を遡って意味を取り直すことは出来ませんから、このように英文を聞こえてきた順に処理していくことが重要です。

音読のコツ⑨トレーニングにバリエーションをもたせる

音読というと「テキストを掲げて、声に出して読む」というイメージが強いですが、私が提唱する音読はこれにとどまりません。

テキストをもとに、音声化していく作業を音読と言えるならば、そのバリエーションは広いです。

それぞれの音読のトレーニング項目には「どの技能を集中的に伸ばせるのか」という観点で違いがあります。

例えば、テキストを見ながら一文ずつ口語に聞いては、発音する、という手法なら無理なく発音やリスニングの音声知覚の能力を伸ばせます。

英文を見ずに、聞こえてきた音声を即座に発音していけば、負荷は高いですが音声知覚にフォーカスして大きく力をつけることが出来ます。

音読のカリキュラムを組むときには、これらのトレーニングの特色を加味した上で、様々なトレーニングメニューを組み込むのがおすすめです。

まとめ

この記事では、英語の音読を効率的に行うためのコツを紹介しました。

とはいえ、実際にどういった進め方が良いのか、実際に行った人はどんな効果を実感しているのかはまだ気になるところですよね。

以下の記事では実際に私が1ヶ月間毎日音読に取り組んだ際の具体的な取り組み方やスケジュールを記述しています。

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この記事を書いた人

現役の英語コーチ・講師が英語学習に関するお役立ち情報を発信中!
TOEIC985・英検1級保有

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