社会人の英語学び直しのメリットと具体的な学習方法は?
社会人になって必要性を感じて英語を学び直す人が増えています。
グローバル化が進み、英語を使う必要がなかった方も急に英語でのやり取りが増えてきたり、転職・昇進の際に英語の資格を持っていると有利になることも増えてきています。
この記事では社会人の英語学び直しについて以下の疑問に答えていきます。
- 社会人が英語が学び直すメリット
- 社会人の英語の学び直しを成功させるポイント
- 社会人の英語の学び直し学習方法
社会人が英語が学び直すメリット
社会人が英語を学び直すことには主に以下の3つのメリットがあります。
- キャリア、収入アップ
- 自己成長による自己肯定感の向上
- 行動、情報収集の幅が広がる
キャリア、収入アップ
転職大手サイトdodaによるとTOEICテストのスコアと年収には一定の相関が見られるようです。
スコアなしの人に比べて、TOEIC900以上の人は150万円以上平均年収が高くなっています。
また、以下の2022年の調査では企業・団体が管理職を中心に英語力において一定のスキルを求めていることが分かります。
つまり、英語スキルは社会人にとって年収アップ・昇進・転職において大きな影響があると言えます。
また、海外のビジネス書や専門書を英語で直接読むことで、最新の経営戦略やマーケティング手法を学べるようになります。
欧米圏のビジネスでは、日本よりも数年進んだマーケティング手法や経営戦略が採用されていますが、日本でそれがスタンダードになるには時差があります。
それは英語の情報が日本に入ってくるまでに時間がかかり、専門書や一次情報が翻訳されるまでにタイムラグが生じるためです。
英語で一次情報に触れられることで、ビジネスパーソンとして大きなメリットがあります。
更に海外出張や駐在においても英語力が高いことでビジネスをスムーズに進めることができます。
現地のスタッフやクライアントと直接やり取りができることで、翻訳ツールなどを挟んだ場合よりも意思疎通のミスも少なく、迅速に業務遂行ができます。
自己成長による自己肯定感の向上
人は成長して前に進んでいる実感を得られることに大きな喜びを感じます。
社会人として学び続ける姿勢を持つことで、成長を実感しプライベートにおいても仕事においてもよい循環が生まれやすくなるでしょう。
仕事がルーティン化してしまって、成長を実感しづらいと感じている人もいるのではないでしょうか?
英語学習は資格試験やTOEICスコアなどで成長を実感しやすいため、自己成長を実感でき、自己肯定感や自信が高めるのに非常に有効です。
また、日々英語でインプットをしていくと新しい知識を得ることができます。読書をしたあとに知的好奇心が満たされ、新たな知識が増えたことで自分がより価値のある存在であると感じやすくなるでしょう。
行動、情報収集の幅が広がる
日本の人口は約1.2億人であるのに対して、世界の人口は約80億人。そしてネット上の情報の55〜60%は英語で日本語のコンテンツに比べて約15倍の量があります。
英語を学習することで、外国人とコミュニケーションを取れるようになったり、情報源の幅が広がり、より豊かな人生を送ることができる可能性が高くなります。
具体的に英語を習得することで広がる選択肢の例を挙げます。
- 海外旅行を自由に楽しみやすくなる
- 現地の人と直接コミュニケーションを取ることができる
- 英語の案内や看板をすぐに理解できる
- 多国籍な友人関係を築く
- 英語を使って世界中の人々と友達になる
- SNSやオンラインコミュニティで異文化交流ができる
- 仕事の機会が増える
- グローバル企業や外資系の企業への転職しやすくなる
- 海外支社に駐在したり、海外クライアントとのやりとりが可能になる
- オンラインでの情報収集の幅が広がる
- 英語のニュースサイトや専門的な記事を読むことができる
- YouTubeなど英語コンテンツを活用して学習や情報収集が可能
- 海外留学や研修に参加できる
- 海外の大学に留学したり、学位取得ができるようになる
- 趣味の幅が広がる
- 英語で書かれた本やコミックを原書で楽しめるようになる
- 英語版の映画やドラマを字幕なしで楽しめるようになる
- ビジネスでの国際展開が容易になる
- 自分のビジネスや商品を海外市場に展開しやすくなる
- 英語のマーケティング資料やプレゼン資料を作成できる
- 国際会議やセミナーに参加できる
- 英語の講演やワークショップに参加し、最新のトレンドを学べる
- 国際的な専門家つながりができる
- 英語を使用した自己学習や資格取得
- 英語で提供されているオンラインコース(Udemyなど)を受講できる
- 異文化理解が深まる
- 英語圏の文化や価値観を直接学び、より深い理解が得られる
- 異なる背景を持つ人々との協力や対話がしやすくなる
- 最新の研究や技術にアクセスできる
- 英語で発表される最新の科学論文や技術情報に直接触れられる
- ITや医療、ビジネスの最新トレンドを早くキャッチできる
- SNSやブログでグローバルに発信できる
- 英語で自分の考えや情報を発信し、国際的な反響を得る
- 世界中からフォロワーを獲得できる
- 国際ボランティア活動に参加できる
- 英語を使って国際NGOやボランティア団体に参加し、現地での活動が可能になる
- 外国製品やサービスを利用しやすくなる
- 海外のオンラインショップやサービスを利用する際、サポートに英語で問い合わせができる
- 外国製品のマニュアルや説明書を理解しやすくなる
- 海外移住や就職の選択肢が広がる
- 英語が公用語の国での移住や長期滞在が可能になる
- 海外転職やキャリアアップが実現しやすくなる
これだけ多くの場面で選択肢が増える英語学習は学び直しにも最適だと言えます。
社会人の英語の学び直しを成功させるポイント
社会人が英語を学び直す際にはいくつか成功させるためのポイントがあります。
漫然とはじめて勉強してしまうと挫折することも多いのでぜひポイントを押さえた学習をしましょう。
- 英語を勉強する目標を明確にする
- 学生時代の学習方法にこだわらない
- 仲間を作る
- やることを絞る
- 毎日少しづつ勉強する
英語を勉強する目標を明確にする
学び直しでの英語学習は挫折する人が多いです。それは忙しい社会人生活の中で明確な目的のない英語学習を続けるのが困難なためです。
はじめの1ヶ月は勢いで続けられますが、次第に仕事やプライベートで自由時間がなくなっていくと、「自由時間を削ってまで英語をやる必要があるのか」と継続が難しく感じてしまうのです。
英語学習を長期間継続させるためには、学習の目的を明確にすることが大切です。期限とセットで目標をセットしたら、目標を細分化して日々の学習にまで落とし込めるとベストです。
例えば「外資系に転職するために2年後にTOEIC800点を取る」という目標を設定した場合、「1年後にTOEIC700取得」、「3ヶ月で5,000語レベルの語彙を習得」、「毎日アプリで英単語に150語触れる」などといったように徐々に小目標に落とし込んでいくと、目標と日々の学習のつながりが意識しやすくなります。
学生時代の学習方法にこだわらない
学生時代の英語学習と言えば、精読、単語帳、過去問、、、などの学習がメインだったと思います。
社会人の英語学習ではこういった学生時代の英語学習の方法は効率的でないことがあります。
まず、効率的な英語学習の方法論は日々更新されており、そういった学習方法を取り入れることによって英語学習の時間を学生ほど多くは取れない社会人でもしっかり成果を出しやすくなります。
最近では第二言語習得理論といって、外国語を習得するプロセスを科学的に明らかにする学問を実践に応用することで効率的な英語学習が可能になっています。
気になる方は「英語コーチング」の受講を考えてみるのもいいでしょう。
次に学生時代の学習はリーディングがメインであり、その他のリスニング・ライティング・スピーキングの能力を鍛えるのに最適化されていないです。
学校での学習は教科書で読む英文の意味の解釈、入試問題の読解などリーディングがメインです。しかし、社会人の英語学習ではリスニングや英会話といった技能の習得が求められることが多いです。
こういった技能は学生時代に行っていた学習では効率よく能力を伸ばすのが難しいため、社会人の学び直しでは目的にあった英語学習方法を選択する必要があります。
仲間を作る
社会人の英語学習は自然に仲間がいた学生時代と違って孤独になりがちです。
思っているよりも仲間がいることは大切で、切磋琢磨する相手がいる、自分の頑張りを見てくれている人がいる、というのは長期間モチベーションを維持するうえでは非常に大切です。
周りに自己研鑽をしている知り合いがいればそれでいいでしょうし、今の時代はX(旧Twitter)でもたくさんの英語学習者と簡単に繋がることができます。
試しにXで「#英語学習」と検索すると、リアルタイムで英語学習を頑張る学習者のつぶやきを見つけられました。
直接の知り合いで仲間がいなくても、Web上で簡単に日本中で英語学習を頑張っている人と仲間になることができます。
やることを絞る
忙しい社会人が英語学習に避ける時間は限られています。あれもこれも「やったほうがいい」ことは山程ありますが、やることを絞って集中して学習することで成果に繋がりやすくモチベーションが保ちやすくなります。
例えば「TOEICも英会話もどちらもできるようになりたい!」という人は優先順位をつけて、まずはTOEICで600を取ってから英会話の学習に重点を置く、というように目標を設定してTOEICを頑張る時期はリーディングやリスニング学習に絞り、その後はしばらく英会話の学習に絞って時間を使っていくのがおすすめです。
1日1時間の学習時間で、4技能を鍛えようとすると各技能15分程度の学習になり、なかなか成果に繋がりません。
成果に繋がらない時期が続くと「毎日1時間も勉強しているのに、成果が現れない…」とネガティブな気持ちに陥りやすいです。
やることを絞るということは「やらないことを決める」ということですので、勇気を持って日々取り組む内容を時期によって絞りましょう。
毎日少しづつ勉強する
平日の仕事の前後で時間を捻出するのは大変かもしれませんが、毎日少しづつでも英語に触る時間を作りましょう。
習慣化の観点で、「2日連続で学習時間が0になると習慣化が難しい」という研究結果が明らかになっています。
比較的時間が取りやすい週末にまとめて学習する、というのは習慣化の観点ではNGで、平日に30分でも毎日英語に触れていれば学習習慣が形成しやすくなります。
習慣化の力は偉大で、はじめのうちは「頑張って勉強時間を確保する」のですが、一度習慣化してしまうと脳のエンジンが大脳基底核という大きなエンジンに変わり、「当たり前のように勉強する」ようになります。
一度この状態になれば「歯磨きをしないで寝るのが気持ち悪い」のと同じように「英語学習をしないで寝るのが気持ち悪い」という感覚で英語学習を続けやすくなります。
しかし、上述の通り2日連続で学習しない日が続くとこの習慣化はリセットされ、また習慣化するには2ヶ月以上かかります。
長期間の学習で成果が出る英語学習では、習慣化できるか否かが成功の鍵を握ります。
仕事のある平日も学習に着手できるようにしていきましょう。
社会人の英語の学び直し学習方法
社会人の学び直しは以下の2ステップで進めていくのがおすすめです。
- 発音→発音記号と音声変化
- 基礎語彙→5,000語をすぐに英語から日本語に
- 中学英文法→中学レベルの英文法をすべて理解する
- TOEICスコアアップ→語彙増強、高校英文法、リーディング・リスニング学習
- 旅行英会話→瞬間英作文、オンライン英会話
まず学び直しをする社会人全員にしてほしいのが、発音・基礎語彙・中学英文法の学習です。
英語には読む・聞く・書く・話すの4技能がありますが、どの技能にも共通して必要なのが発音・基礎語彙・中学英文法の3つです。
この3つの項目をマスターしたら、そのあとはそれぞれの英語学習の目標に応じた学習をしていくのがおすすめです。
この記事では、学び直しをする人全員が行うべき発音・基礎語彙・中学英文法それぞれの学習方法を解説していきます。
発音の学習方法
発音学習で身につけてほしいのは以下の2つです。
- 発音記号
- 音声変化
発音記号(/ɑ/, /ʌ/など)とは英語の音素を表すもので、約15個の母音と24個の子音で構成されています。
正しい発音を身につけることで、リスニングでの聞き分けができるようになる、スピーキングで相手に聞き取ってもらえる、リーディングのスピードが上がるといったような効果が期待できます。
英語と日本語の発音は大きく異なります。例えば日本語の母音「あ」に近い発音は、英語では/ʌ/, /ə/, /æ/, /ɑ/など複数存在します。
本来は一番はじめに学習するべきですが日本の学校教育では学ばないことのほうが多いです。
これから学び直しをする社会人の方は、一番はじめに発音記号を学習しましょう。発音を学ぶ際は動画つきの教材がおすすめです。
英語の会の発音記号3時間マスターは動画とセットで発音記号を学習できます。書籍で学習したい方はDVD&CDでマスター 英語の発音が正しくなる本がおすすめです。
発音記号は数が多くないので、数時間程度で学習を終えることができます。実際に発音しながら、学習してみましょう。
音声変化とは文章を読むときに発音が変化する現象のことで、大きく5つに分類できます。
英語の文章を読めば分かるのに、うまく音が聞き取れないのは音声変化が発生しているためです。
音声変化のルールを学ぶことで、リスニング力を効率的に上げることができます。2週間程度で一通りのルールは学習できます。
音声変化を学習する際には、kindle版とハードカバーがある5つの音声変化がわかれば英語はみるみる聞き取れるがおすすめです。
発音の学習を終えたら、自分の発音の正しさをチェックできるELSA Speakなどのアプリでテストを受けるのがおすすめです。
画像のように発音の正確さが数値で確認できます。
音声記号別に発音の正確度を診断することもできるので、例えば/ʌ/の発音は90%出ているけれど/ə/の発音が30%という数字の場合は、後者の音素を復習する、といった効率的な学習ができます。
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基礎語彙の学習方法
英語を含む語学では「語彙数が正義」と言われるくらい、知っている単語の数が重要です。
社会人の学び直しではまず5,000語の英単語の意味が即座に出るようにすることが必要です。
語彙5,000語のレベル感としては、英検2級、TOEIC500レベルです。具体的な語彙数はTest your English vocabularyなどのサイトですぐに分かります。
大学受験レベルまである程度しっかり英語を学んでいた場合は、すでに5,000語の語彙を習得していることもあります。
基礎語彙の学習方法としては英単語アプリか単語帳がおすすめです。
英単語アプリはmikanがおすすめです。以下の記事で詳しい使い方を解説しています。
mikan, 単語帳ともに学習するレベルとしては、以下の目安があります。
・中学レベルの英単語から復習したい
→「高校入試レベル」、「中学全範囲」、「英検5〜3級」「3,000語レベル」などの記載があるもの
・高校レベルの英単語を復習したい
→「大学入試入門レベル」「英検凖2〜2級」「5,000語レベル」などの記載があるもの
中でも「英検でる順パス単シリーズ」は単語が重複せずにレベルに合わせた学習ができるのでおすすめです。(mikanにも収録されています。)
単語学習の際には以下のポイントを意識しましょう。
- 復習の頻度を高くしすぎない
- 最低1日100語以上触れる
- 発音も一緒に覚える
- 一語につき1つの和訳だけ覚える
- すぐに覚えられると思わない
具体的なスケジュールとしては以下のような進め方です。
- 1,500語収録されている場合、毎日100語ずつで15日間で一周する
- 発音を聞き、自分でも発音したあと和訳も口に出す(口パクでもOK)
- セクションを区切らずに一番最初の単語からいちばん最後まで一気に進める
中学英文法の学習方法
社会人の学び直しの場合でも中学英文法はすべての技能の基礎になりますので、必ず復習しておきましょう。
おすすめの参考書は中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。改訂版です。
わかりやすい挿絵もあり、演習もセットになっているので一冊仕上げれば十分です。
文法を学習するときは以下のポイントを押さえましょう。
- わからない部分は動画を見る
- 問題を解く
- 完璧主義を捨てる
- 1つの参考書を3周する
- 早めに4技能の学習に進む
文法学習で分からないところは何度読んでもわからないことが多いので、理解度が高まる動画視聴がおすすめです。Youtubeで該当の文法事項の名前で検索すれば文法講義の動画が見つかるはずです。
文法を学ぶときは説明を読んだあとに問題を解きましょう。アウトプットしてみると理解度が低いところが分かったり、記憶に残りやすくなったりします。
文法事項は参考書の学習だけでは100%分からない部分があります。実際に英語を読んだり書いたりする中で分かることもあるので、この時点で100%理解する必要はありません。
分からない箇所に詰まって時間をかけすぎるのは得策ではありません。
文法の参考書はコロコロ変えず、これと決めた一冊を最低三周しましょう。周回を重ねることで次第に理解が深まるので、三周を目安に取り組みましょう。
また、一周したら参考書を変える人がいますが、記憶が定着しないうちに参考書を変えるとせっかく深まりかけた記憶がリセットされるのでおすすめしません。
80%ほど中学英文法が理解できたら、もう4技能の学習に移りましょう。いつまでもルールブックを見ているだけでは英語は上達しません。目的に合わせてリーディング・リスニング・ライティング・スピーキングの学習に移って、実際に生きた英語に触れていきましょう。
社会人の英語学び直しまとめ
この記事では社会人の英語学び直しについて解説しました。
まず社会人が英語を学び直すメリットとしては、以下の3点が挙げられます。
- キャリア、収入アップ
- 自己成長による自己肯定感の向上
- 行動、情報収集の幅が広がる
次に社会人の英語の学び直しを成功させるポイントとしては以下の5点です。
- 英語を勉強する目標を明確にする
- 学生時代の学習方法にこだわらない
- 仲間を作る
- やることを絞る
- 毎日少しづつ勉強する
最後に社会人の英語学習の具体的な方法として発音・基礎語彙・中学英文法の3つをはじめにマスターしていくことをおすすめしました。
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