英語リスニングに必須!ディクテーションの効果とやり方を解説!

ディクテーションとは、英語のリスニングのトレーニングの1つです。

何も見ずに聞き取った音を、書き起こすというもので、時間はかかりますが細かい聞き取りを可能にする有効なトレーニングです。

この記事では、現役の英語コーチの私がディクテーションの効果とやり方について以下の疑問に答えていきます。

・ディクテーションってどんな効果があるの?
・ディクテーションがおすすめの人は?
・ディクテーションの具体的なやり方は?
・ディクテーションをするときの注意点は?
・ディクテーションにおすすめの教材・サイト・アプリ

Kai

ぜひ日々の学習に取り入れてみてくださいね!

目次

ディクテーションの効果

トレーニングの効果を理解した状態で実践することで、漫然と取り組むよりも高い効果を得ることが出来ます。

ディクテーションの効果として以下のことが期待できます。

  1. 発音がよくなる
  2. 聞き取れていない原因がはっきり分かる
  3. 聞き取れなかった箇所が聞き取れるようになる
Kai

1つずつ解説していきます!

発音がよくなる

リスニングで聞き取れていない箇所は、自分でも発音ができない箇所です。

逆に言うと、聞き取れなかった箇所が聞き取れるようになれば、その箇所の発音ができるようになったと言えます。

後述するように、リスニングで聞き取れない箇所というのは音声変化などが絡んでいる箇所です。

聞き取りだけでなく、自分で英語を発音するときにも自然と音声変化を再現して滑らかな英語の発音ができるようになります。

聞き取れていない原因がはっきり分かる

リスニングにおいて、具体的にどの部分が聞き取れていないのかを見分けることはかなり難しいです。

しかし、ディクテーションでは聞き取れた英語を書き出すため、書き取れなかった箇所=聞き取れなかった箇所ということができます

これは自分自身の体験になるのですが、書き出さずに「なんとなく2箇所くらい聞き取れていないかな」と思っていた英文をディクテーションで書き出してみると結構聞き取れていない部分があって驚きました。

これを機にディクテーションを取り入れていくと、簡単なリスニング音声でもそれまで自分は聞き取れていない箇所を想像で補って聞いていた事が分かりました。

簡単な音声からはじめて、細かい箇所までディクテーションしてからは、それまで難しく感じていた速い音声も非常に聞き取りやすくなっていたのです。

リスニングでは、なんとなく聞き取れるから、全体の意味がふわっと分かるから、と考えてどんどん速い音声にチャレンジしがちです。

しかし、ディクテーションを取り入れてみると、案外簡単なリスニング音声でも完璧に聞き取れていないことが可視化出来ます。

聞き取れなかった箇所が聞き取れるようになる

ディクテーションでは、音声を書き出すことで自分が聞き取れていない箇所が明確に分かることを説明しました。

聞き取れていない箇所が分かったら、その原因を分析することで次に同じような音声が流れてきた時に初見でも聞き取れるようになっていきます。

例えばget out ofという箇所がディクテーションで書き取れなかったとしましょう。

ここで「音声変化」の知識を活用して、「ら行化と連結が2箇所で起きている」ことが分かれば「ゲット アウト オブ」が「ゲラウロブ」と発音されることが分かります。

あとはここを音声と同じスピードで発音出来るまで練習すればOKです。

ディクテーションでは、書き取れなかった箇所を分析して復習までセットで行うことで真の効果を発揮します。

この作業は弱点をあぶり出し、そこを補強するというリスニング能力を高めるために非常に大きな効果を生みます。

ディクテーションがおすすめの人は?

ネット記事などでは「ディクテーションなど不要!」という意見が飛び交っているのを見かけます。

これはどのトレーニングにも言えることですが、きちんと自分の伸ばしたい技能に合った効果が期待出来るかどうかという点を事前に考えましょう。

ディクテーションがおすすめできるのは以下の方です。

  • 音の聞き取り能力を上げたい人
  • リーティングの基礎が出来ている人
  • 音素・音声変化の勉強が終わっている人
Kai

もし当てはまっているなら、ぜひディクテーションを取り入れましょう!

音の聞き取り能力を上げたい人

ディクテーションは音の聞き取りに特化したトレーニングです。

聞き取った音を書き取ることで、自分の聞き取れていない箇所が客観的に診断出来るので、弱点に絞ったリスニング学習が可能になります。

後述する学習方法で紹介する通り、ディクテーションは音声の書き起こし→書き取れなかった箇所の分析・復習、という流れで進めていきます。

弱点をあぶり出し、練習する、というトレーニングを地道に繰り返していくことで劇的にリスニングの能力が向上します。

もちろん初級の学習者にも効果的ですが、上級者でリスニング能力に伸び悩んでいる方に特におすすめです。

上級者ほど、リスニングの試験で得点出来ていても実際には聞き取れていない箇所が多いものです。

というのも、試験では解答の根拠になる箇所が一部聞き取れていたり、全体として話の流れを大まかに終えていたりすれば「全部聞き取れているから解答できている」と復習せずに終わってしまう癖が付きやすいからです。

ディクテーションをしてみると、たとえ正答できていた問題でも聞き取れていない箇所があることが分かります。

独学で伸び悩んでいる場合、「理解したつもりになっている」箇所が課題になっていることがほとんどです。

リーティングの基礎が出来ている人

第二言語習得理論によると、英語学習でもっとも大切なのは「意味を理解したインプット」とされています。

ディクテーションに使っている英文が読んでも理解できない場合、インプットの効果は半減してしまいます。

また後述しますが、ディクテーションは単体で取り組むのではなく、音読やシャドーイングと組み合わせるのがおすすめです。

音読やシャドーイングの際にも、同じように意味を理解できているのが前提条件となるため、ディクテーションの前には基本的なリーディングスキルが必須です。

音素・音声変化の勉強が終わっている人

すでに書いた通り、ディクテーションでは書き取れなかった箇所=聞き取れていない箇所をあぶり出した後、聞き取れていない要因を分析・復習する必要があります。

ただ書き取れなかった箇所を繰り返し聞いても、効果は薄いでしょう。

英語のリスニングで聞き取れない箇所というのは、音素・音声変化の知識をもとに分析をかけましょう。

  • /l/, /r/の発音の違いは自分で再現出来ますか?(音素)
  • 連結・同化・ら行化・脱落・弱形をすべて説明できますか?(音声変化)

もしこれらの知識がないなら、聞き取りが出来ない原因を自分で分析するのは不可能です。

ディクテーションをするのは、音素・音声変化の学習を終えた後にしましょう。

音素・音声変化の学習の仕方や教材などは以下の記事で解説しています。

具体的なディクテーションのやり方

私がおすすめするディクテーションのやり方をご紹介します。

厳密に言うと、ディクテーションを取り入れたトレーニングプランです。

ディクテーションで書き取ったものをスクリプトで答え合わせするだけでは効果は薄く、その後復習してスラスラ言えるようになるまで練習してこそ意味があります

では早速見ていきましょう。

STEP
文章を通しで聞く

1分程度の音源を止めずに全体を通しで3回聞く。

細部まで気にせずに英文全体の意味を見失わないようにする

なんとなく「中盤の頭くらいが聞き取りづらいかな」くらい分かればOK。

STEP
一文ずつ一時停止しながら、音声を書き取る

一文音声を流したら、一時停止を押して書き取る。

一単語ずつ止めたりせずに、一文単位で書き取る。

書き取れない箇所は5回ほどを目処に繰り返し聞く。(それ以上は聞いても変わらない。)

STEP
スクリプトを見て、答え合わせをする

音源のスクリプトと照らし合わせて、自分が書き取れなかった箇所と、間違っている箇所にマーカーを引く。

冠詞が抜けている、複数形・三単現のsが抜けている箇所も厳しくチェックする。

STEP
聞き取れなかった箇所の分析・発音をする

マーカーを引いた箇所を音声変化を中心に分析する。

<聞き取れなかった箇所の原因と対策>

  • 自分が知らない単語・熟語・フレーズだった
    →辞書で意味と発音を調べる
  • 知っている単語だったが発音を間違って覚えていた
    →辞書で正しい発音をくり返し聞く
  • hotをhutなど似ている音素を持つ単語を聞き違えた
    →音素を区別できるよう、テキスト・Youtubeなどで学習する
  • 音声が読まれるスピードについていけていなかった
    →同じスピードで読めるまで音読する
  • 音の変化が聞き取れなかった
    →音声変化をもとに分析する

音声変化の分析は5つの音声変化をもとに、聞き取れなかった箇所を以下のように色分けすると良い。

分析が終えて「たしかに音声変化を経たら、こういう聴こえ方になるな」と納得できたら、該当箇所を練習する。

以下の流れで行うと良い。

  1. 書き取れなかったフレーズをスラスラ言えるまで音読する
  2. 書き取れなかったフレーズを音声をシャドーイングする(スクリプト無しで流した音声を聞き取ってすぐに発音する)
  3. 書き取れなかったフレーズが含まれるセンテンスをスラスラ言えるまで音読する
  4. 書き取れなかったフレーズが含まれるセンテンスを音声をシャドーイングする

上の文章で、3文目のwent to the restroomが聞き取れなかった場合の復習の例

1.went to the restroomが音声変化した後の読み方(音源と同じ読み方)でスラスラ言えるまで音読する
2.went to the restroomをシャドーイングする
3.He went to the restroom and took a showerをスラスラ言えるまで音読する
4.He went to the restroom and took a showerを音声をシャドーイングする

STEP
全体をシャドーイング出来るまで練習する

苦手な箇所すべてで、音声変化の分析・練習が終わったら、英文を止めずに全体をシャドーイングする。

部分練習ができるようになっても、全体でシャドーイングしてみるとうまく言えなくなることがある

全体をシャドーイングしてみて、躓くところはSTEP4の復習プログラムをもう一度取り組んで、全体シャドーイングに挑戦。

全体を完璧にシャドーイング出来たら、復習は終了。

翌日、3日後、1週間後に全体シャドーイングで復習する。

ディクテーションをする際の注意点

ディクテーションをする際には、教材の選定から取り組むタイミングまで注意すべきポイントがあります。

具体的には以下のポイントを抑えておきましょう。

  • 簡単な教材を使う
  • 音声を短く切りすぎない
  • 文法・語法をヒントにする
  • シャドーイング出来るまで練習する
  • スクリプトがついている教材を選ぶ
  • ディクテーション以外のトレーニングも組み合わせる
Kai

ディクテーションに取り組む前に必ずチェックしておきましょう!

簡単な教材を使う

ディクテーションを含む、リスニングのトレーニングに用いる教材は簡単なものを選びましょう

目安としては、初見で7割程度意味・音が聞き取れるものです。

私自身はTOEICが860ある時点で、中学3年生の教科書レベルからスタートしました。

リスニングの教材を選ぶときはWPMを参考にするといいでしょう。

WPMとは「Words Per Minute」の略で、1分間に読まれる語数を表しています。

WPMの値が小さいものほど、ゆっくりな音源で、値が大きいほどスピードが速い音源になります。

以下は各種試験のWPMの比較表の引用です。

Twitter:ミトママ@英語学習より引用

初学者の方ならWPM90程度からはじめて徐々にWPMを上げていくといいでしょう。

音声を短く切りすぎない

ディクテーションをするときは、音声を短く切りすぎると一定の長さの英文を聞き取れなくなるため一文で区切るようにしましょう。

反対に長過ぎると聞き取れずになかなか前に進まないので、ちょうどよくギリギリ聞き取れるレベルに調整するといいでしょう。

文法・語法をヒントにする

ディクテーションをするときには、文法・語法的な手がかりをもとにしていくと聞き取りがしやすくなり、普段から楽に聞き取りがしやすくなります。

例えばcause O to doという語法知識があれば、causeのあとのにO to doという形が来るかもしれないという予測を立てることが出来ます。

リスニングでは、文法や語法を活用することで次に来る文の形が予測しやすくなります。

ディクテーションの際にも「この感じなら、ここは複数形になるはずだからsに着目してもう一度聞いてみよう」という意識で取り組みましょう。

シャドーイング出来るまで練習する

繰り返しになりますが、ディクテーションは弱点を検知するためのトレーニングです。

弱点を検知しても、解答と照らし合わせて「聞き取れた・聞き取れなかった」と確認するだけでは意味がありません。

英語のリスニングでは、原則「発音できるものは聞き取れる」というものがあります。

音源のスピードで何も見ずに、シャドーイング出来るまで練習することで、次に同じような英文が流れてきたときに聞き取りが楽になるでしょう。

スクリプトがついている教材を選ぶ

英語リスニングのスクリプトとは、音源が文字になっているものです。

リスニング学習において、スクリプトは全訳のようなもので、必ずスクリプトがついている教材を選びましょう

せっかくディクテーションをしても、スクリプトがなければ自分の聞き取った英文が正しいのか、聞き取れなかった箇所は何と言っているのかが分からずじまいで復習ができません

Youtubeなどを教材にする場合は、以下のサービスで字幕を別途用意すると非常に勉強しやすいですよ。

ディクテーション以外のトレーニングも組み合わせる

ディクテーション自体は、リスニング音声の書き取りを指しますが非常に時間がかかるうえ、しっかり身につくまで復習をしなければ効果は薄いです。

そのため、ディクテーションは聴解、音読やシャドーイングなどと組み合わせてトレーニングに取り入れましょう

ディクテーションだけをするよりは、トレーニングの一部の弱点検知として取り入れるのがおすすめです。

すでにご紹介したトレーニングの方法は、これらをパッケージ化しているのでおすすめです。

ディクテーションにおすすめの教材・サイトは?

テキストで言えば、レベル別になっている以下の教材がおすすめです。

最後にWebでもディクテーションが出来るサービスを紹介しますね。

Webでディクテーションを完結できる Listen and write

Listen and writeのおすすめポイント
ブラウザ上で手軽にディクテーションができる!
難易度、動画の長さから素材を選べる!

ディクテーションを手動で紙に書きながらやったことがある方は、次のような点に煩わしさを感じたことがあるのではないでしょうか?

  • 紙とペンがないと出来ない
  • 短い文章を繰り返し自分で巻き戻し・再生・一時停止するのが大変
  • 適切なレベル、長さの音声素材を見つけられない

Listen and writeでは、ブラウザ上で選んだ教材のディクテーションを完結できます。

以下のような形で動画から聞こえてきた文章をタイピングしていくだけです。

聞き取れない箇所があっても、自動でループ再生が一定時間繰り返されるので「聞いたものをアウトプットする」というディクテーションの作業に専念出来ます

教材を選ぶ際も書くサムネイルの下に次のような表示があり、レベルと音声の長さを事前に知ることが出来ます

スパッと教材を選んで学習に入れるのもいいですね。

圧倒的操作性でディクテーションができる 英語リスニング無料学習館

英語リスニング無料学習館のおすすめポイント
Web上でディクテーションが完結できる!
タイピング機能があるから、紙やテキストツールが不要!
日本語版のサイトで操作性がいい!

すでに紹介した「Listen and write」という学習サイトと同様、Web上でディクテーションが完結できるサービスです。

こちらは日本語で制作されているので、操作が分かりやすく、作りもシンプルで使いやすいです。

再生速度も0.5倍、通常、1.5倍と選べて、ループ再生で同じ箇所を何度も聞くことができます。

その下の空欄に聞き取った英文をタイプすればいいので、紙やテキストツールを自分で用意する必要がありません

すぐ下で答えを確認できるのも便利です。

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この記事を書いた人

現役の英語コーチ・講師が英語学習に関するお役立ち情報を発信中!
TOEIC985・英検1級保有

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