リスニングで理解が追いつかないのはなぜ?原因と対策を解説!

英語のリスニングで「理解が追いつかない」と感じたことはないでしょうか?

なんとなく音は追えているけれど、聞き終わったときに頭に意味が残っていないというのはリスニングの勉強をしていればよくあることです。

理解が追いつかない、と一言で言っても原因は様々です。

この記事では以下の疑問・悩みに答えていきます。

・リスニングで理解が追いつかない原因は?
・リスニングで理解が追いつかないときの対策は?

Kai

なぜ理解が追いつかないのかを分析して、課題にあった対策を行うことで劇的な効果が生まれますよ!

目次

リスニングで理解が追いつかない5つの原因

第二言語習得理論によると、リスニングのプロセスは「音声知覚」と「意味理解」の2つに分かれます。

音声知覚とは英語の音を認識するプロセスです。

例えばWhat do you do?という英語を聞いて、「What do you do?と聞かれている」ことが分かれば音声知覚に成功していることになります。


意味理解とは認識した英語の意味を正しく解釈するプロセスです。

例えば「What do you do?」と認識した英語を「職業を聞かれているな」と認識出来れば、意味理解に成功していることになります。


反対に「What do you do?と聞かれている」ことが分かっても、「それってどういう意味?今何をしているかってこと?」というように正しく意味理解が出来なければ、音声知覚には成功していても意味理解のプロセスで失敗していることになります。

この前提知識をもとに、英語のリスニングで理解が追いつかない原因を5つに分類しました。

  1. 英文法を理解していない
  2. 英文の内容が難しすぎる
  3. 音の聞き取りに集中しすぎている
  4. 日本語の語順に直して理解している
  5. パッと意味が出てくる語彙が少ない
Kai

1つずつ解説していきますね。

原因①英文法を理解していない

英文法の理解が不十分だとリスニングでも理解が出来ない、追いつかない原因となります。

英文は英単語を英文法というルールに則って配置したものですから、当然ルールが分からなければ意味も正確に解釈することが出来ません


また、英文法を理解することで文章の構文が分かるので、一度しか読めなくても先の展開が予測できるようになります。

例えば「It is difficult for O to do.」というのは「Oが〜するのは難しい」という構文ですが、これは中学でも習う英文法です。

これが頭に入っていれば「It is difficult」が読まれた時点で「この後でto不定詞で真主語が展開されるぞ」という予測を立てて、リスニング出来るわけです。

展開が予測できることで先回りして理解が出来るため、意味理解のスピードが圧倒的に向上します。

原因②英文の内容が難しすぎる

そもそもスクリプト(リスニングの原稿)を読んで、英文の意味が理解できなければリスニングでも意味が理解できません

日本語でも同じですが、読めばなんとか分かるレベルの文章は、聞いても理解できないことがあります。

これは、そもそものリーディング能力が足りていないパターンです。

原因③音の聞き取りに集中しすぎている

脳のリソースは有限で、聞き取り(=音声知覚)に90%意識を向けてしまえば、意味の理解に割けるリソースは10%しか残りません。

10%のリソースで意味を解釈しようとするのは難しいです。

スクリプトを読めば理解できるのに、リスニングになると理解が追いつかない」と悩んでおられる方に多い現象です。

特に日本で育って受験英語をしっかりされてきた方は、意味理解の力に比べて音声知覚の力が大きく劣っていることが多いです。

これは読んできた英文の量に比べて、聞いてきた英文の量が圧倒的に少ないためです。

原因④日本語の語順に直して理解している

これも日本の学校英語に起因しますが、英文を理解する時にきれいな日本語の語順に直して理解してしまう方は特にリスニングで理解が追いつかないことが多いです。

リーディングは、自分のペースで止まったり遡ったりして英文を理解できますが、リスニングでは一度しか聞き取りのチャンスがありません。

日本語と英語の語順は鏡のような関係になっていて、英語は結論ファーストでどんどん後ろに説明を加えていく語順ですが、日本語は逆に説明を前に持ってきて結論を最後に配置します。

文章が少し長くなったりすると、日本語の語順に、つまり後ろから英文を解釈しようとすると後ろの聞き取りをしている内に前の英文の内容を忘れてしまうのです。

リーディングで、長い文章が出てくるとそこだけ解釈に時間がかかる」という特徴をお持ちの方に見られる現象です。

原因⑤パッと意味が出てくる語彙が少ない

リスニングはリーディングと違って聞き返しが出来ないので、英単語の意味をいちいち「えーと、この単語の意味は…」などと考えている時間はありません。

聞き取った英単語の意味が即座にイメージできなければ、リスニングでは置いていかれてしまいます。

ここでいう「意味のイメージ」とは、英単語が持つ核のイメージが即座に出来るかどうか、ということです。

例えば「as soon as」というのを「〜するやいなや」という意味のまま処理している人はほとんどいないでしょう。

自分なりに「次のことしたらすぐ、ね」くらいに自分の言葉でイメージに落とし込めていないと意味不明な英単語の羅列のままでは理解できません。

【原因別】リスニングで理解が追いつかないときの5つの対策法

ここまで見てきたリスニングで理解が追いつかない原因に対して、それぞれ対策法を紹介します。

  1. 英文法を勉強する
  2. 読んで理解できるレベルを上げる
  3. 発音を勉強する
  4. スラッシュリーディングを取り入れる
  5. 英単語を覚える
Kai

原因に合った対策法を取りましょう!

対策①英文法を勉強する

「原因①英文法を理解していない」への対策としては、自分の聞き取りたいレベルの英文法を勉強するといいでしょう。

日常英会話程度の聞き取りがしたいのであれば、中学英文法を勉強すればいいでしょう。

それ以上のレベルの英文を聞き取りたいなら、高校英文法までしっかり勉強しましょう。

対策②読んで理解できるレベルを上げる

「原因②英文の内容が難しすぎる」への対策としては、そもそもの読解・背景知識のレベルを上げましょう

以外に思われるかもしませんが、リスニングしている英文の内容が難しすぎる場合はリーディングで精読のトレーニングを行うのが一番の近道です。

上で提示したリスニングのプロセスの内「意味理解」のプロセスは、リーディングのプロセスそのものです。

正確にリーディング出来る英文のレベルが上っていけば、自然とリスニングで解釈出来る英文のレベルも上がっていきます

対策③発音を勉強する

「原因③音の聞き取りに集中しすぎている」への対策としては、発音の勉強をするのがいいでしょう。

リーディングでは「英単語」「英文法」が必須の基礎知識ですが、リスニングでは以下の2つの知識が必要です。

  • 音素
  • 音声変化

音素とは音の最小単位です。

例えば、/tíːθ/などの発音記号に含まれている/t/, /íː/, /θ/のことを指します。


この最小単位の音素の時点で発音を誤っている場合、英文全体を読んだときに相手に英文を認識してもらえない可能性が高くなります。

例えば、日本語の「ア」に相当する音素は/ə/, /æ/, /ʌ/, /ɑ/の4つ存在します。

hat/hæt/, hut/hʌt/, hot/hɑt/はこの音素の発音が出来ないと、大きな誤解に繋がってしまいます。


音声変化とは単語内、および英単語同士の間で発音される際に辞書通りの読まれ方とは異なる読まれ方になる際のルールです。

例えば、例えば「get out」が速く読まれると「ゲラウト」に聞こえるようになるのは一定のルールに沿って「ゲット アウト」という読みから変化しているためです。

音声変化がマスターできていないと、発音が忙しく聞こえたり、なめらかに読むことができなくなったりしてしまいます。

対策④スラッシュリーディングを取り入れる

「原因④日本語の語順に直して理解している」に対しては、スラッシュリーディングを取り入れることが有効です。

スラッシュリーディングとは英文をカタマリで捉えて、英語の語順のまま前から理解していく解釈方法です。

上の画像の中で、英文の途中で区切り(スラッシュ)が入っているのが分かるでしょうか?

このように意味の切れ目で英文を区切り頭から順番に処理していくことで、リスニングでも聞いたそばから理解していくことが出来るようになります。

こちらはまずリーディングでスラッシュリーディングが出来る必要があるので、リーディングでスラッシュ読みができるようになったものを音声で聞いてスラッシュ・リスニング出来るようにするといいです。

対策⑤英単語を覚える

「原因⑤パッと意味が出てくる語彙が少ない」に対しては、英単語を例文付きでイメージを意識して覚えることが有効です。

リスニングでは難しい単語を浅く知っているよりも、基礎的な語彙をイメージレベルで定着させている方が意味理解に役に立ちます。

ポイントは以下の3点です。

  • 例文とセットで覚える
  • 自分の言葉に落とし込む
  • 単語のもつイメージが画像で浮かぶ

英単語と和訳を一対一で覚えるよりも、例文とセットで覚えることで、語法や使われる場面が分かるのでリスニングで役に立つ知識になります。

また単語帳・辞書の和訳は堅く、イマイチしっくり来ないものが多いので自分の言葉で落とし込んでおかないと「意味はわかるけど、結局理解は出来ていない」となりがちです。

例えば「realize」を「認識する」として、イメージが出来ますか?「notice」の「認識する」とは何が違うかイメージ出来ますか?

単語帳通りに覚えるよりも「realizeのイメージは、こういうことなんだと頭で理解する」「noticeのイメージは、通知や標識を見て・聞いて気づく」というイメージを例文を通して覚えるほうが圧倒的にリスニングでの理解がしやすくなります

このように単語が使われているイメージが画像・映像レベルで浮かぶレベルで覚えている基礎語彙の数を増やしましょう。

まとめ

この記事では以下の疑問・悩みにお答えしてきました。

・リスニングで理解が追いつかない原因は?
・リスニングで理解が追いつかないときの対策は?

この記事では以下のような原因と対策をおすすめしています。

リスニングで理解が追いつかない原因と対策

  1. 英文法を理解していない
    →英文法を勉強する
  2. 英文の内容が難しすぎる
    →読んで理解できるレベルを上げる
  3. 音の聞き取りに集中しすぎている
    →発音を勉強する
  4. 日本語の語順に直して理解している
    →スラッシュリーディングを取り入れる
  5. パッと意味が出てくる語彙が少ない
    →英単語を覚える
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この記事を書いた人

現役の英語コーチ・講師が英語学習に関するお役立ち情報を発信中!
TOEIC985・英検1級保有

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