日常英会話レベルってどれくらい?到達するまでの期間は〇〇時間

英会話学習において1つの到達点とされる「日常英会話」レベルですが、これは人によって解釈が分かれる曖昧な基準です。

また、学習を始めてからどれくらいの期間で日常英会話ができるようになるのか、というのも気になるところですよね。

この記事では以下の疑問に答えていきます。

日常英会話のレベルってどれくらい?
日常英会話が出来るようになるまで、どれくらいかかる?

Kai

現役の英語コーチが、論文をもとに考察していきます!

目次

日常英会話のレベルってどれくらい?

結論から言うと、日常英会話レベルはCEFRにおけるB1レベルだと言えます。

CEFRとはヨーロッパ言語共通参照枠組といって、あらゆる資格試験の評価の大本になっているものです。

例えば英検は1級、2級など級によって評価されますが、TOEICは990点満点のスコアで評価されます。

両者は級とスコアという異なる評価軸であるため比較が出来ないように思えますが、CEFRを用いれば比較が可能です。

例えば下の図を見ると、英検2級はCEFR基準におけるB1レベルにあたり、これは同じB1レベルにあるTOEICスコア720程度に相当すると言えます。

nisai Japanより引用・筆者が赤枠追加

このようにCEFRはあらゆる資格試験に共通した評価枠組みであり、今回はこのCEFRをもとに「日常英会話レベル」がどのようなレベルなのかを考えていきます。

日常英会話レベルで出来ることは?

冒頭で日常英会話レベル=CEFRのB1レベルだと述べました。

根拠として以下の図を見てみましょう。

こちらの図はCEFRにおいて「口頭でのコミュニケーションで出来ること」を初級レベルのA1から上級レベルのC2までのレベル別に分類したものです。

B1レベルの記述を引用・和訳すると以下のようになります。

“Can communicate with some confidence on familiar routine and non-routine matters related to their
interests and professional field. Can exchange, check and confirm information, deal with less routine
situations and explain why something is a problem. Can express thoughts on more abstract, cultural topics
such as films, books, music, etc.”

日常的な会話や、関心があるいは職業に関係する会話において、自信を持って意思疎通が出来る。
情報を交換、確認したり、日常以外の場面に対応して、何が問題なのかを説明することが出来る。
映画、書籍や音楽などの隆昌的で文化的な話題に関して表現出来る。

Can exploit a wide range of simple language to deal with most situations likely to arise while travelling.
Can enter unprepared into conversation on familiar topics, and express personal opinions and exchange
information on topics that are familiar, of personal interest or pertinent to everyday life (e.g. family,
hobbies, work, travel and current events).

幅広い簡潔な言葉を使って、旅行中に起こりうるほとんどの状況に対処することが出来る。
準備をせず親しみのある話題に入っていき自分の意見を表現したり、親しみ・関心がある、もしくは日常生活に関連する話題(家族、趣味、仕事、旅行、イベント)について情報を交換したりすることが出来る。

CEFR Companionより引用:訳は筆者加筆

これらのことができれば「英語で日常生活が営める」と考えて、今回はこのB1レベルを日常英会話レベルと定義しています。

B1レベルって資格試験でいうとどれくらい?

B1レベルというのはあくまで共通のレベル枠で、実際に自分がB1レベルに達しているかどうかは資格試験での判断ということになります。

以下の表は各種試験のB1レベルをまとめたものです。

英検TOEIC L&RIELTSTOEFL iBTTOEIC S&WVERSANTPROGOS
B1レベルの級・スコア
(中央値)
2級550~785
(668)
4.0~5.5
(4.75)
42-71
(57)
240~310
(275)
47〜57
(52)
B1

国内で有名な試験として、英検は2級、TOEIC L&Rは668点がB1レベルとなっています。

しかし、TOEIC、一般に広く受験されているTOEIC L&R試験はその名の通りリスニングとリーディングのレベルを測定する試験であり、英会話の能力を図るには不適であると言えます。

また英検も3級以上で課される面接試験はあれど、1級以外、あまりに試験形式が固定化されており英会話能力を測るには不十分です。

英会話の能力を図るために国内で気軽に受けられる試験としては、VERSANTPROGOSなどの試験があります。

VERSANTでは47~57、PROGOSではそのままB1がB1レベルに該当します。

また少し費用がかさみますが、IELTS、TOEFL、TOEIC S&Wなどの試験も英会話能力を測定するのに有用な試験だと言えます。

IELTSでは4.0~5.5、TOEFL iBTでは42~71、TOEIC S&Wでは240~310がB1レベルに該当します。

日常英会話が出来るようになるにはどれくらいの期間がかかる?

結論から言うと、社会人からスタートして日常英会話が出来るまでには約860時間かかります。

論文「日本人の英語学習時間について-これまでの学習時間とこれから求められる学習時間」で言及されている計算式によると、英語の知識ゼロからスタートした場合、日本人の学習者が日常英会話レベルの英語力を身に着けるまでには約3,000時間かかることになります。

大学卒業までに2,200時間の英語学習を行っているため、3,000-2,200でおよそ800時間の学習時間が必要だと言えます。

(参考)B1レベル達成に必要な学習時間の導出計算式
日本人の英語学習時間について : これまでの学習時間とこれから求められる学習時間より筆者が計算

・大学卒業までの学習時間=2,200時間(授業時間1,100時間+自習時間1,100時間)

・CEFR B1レベルまでの標準受講時間=350〜400時間
→これを日本人による英語学習に換算して3.7を掛けると1,295〜1,480時間(中央値1,387.5時間)の教育機関での受講が必要
→1387.5時間のうち大学卒業までに1,100時間はすでに受講しているため、差分は1,387.5-1,100=287.5時間、卒業後に教育機関での受講が必要となる。
→独学(自習)の場合、授業1時間が自習2時間に相当すると仮定すると、287.5時間×2=575時間に加え、本来授業外で行うはずの287.5時間が必要となるため、575+287.5=862.5時間が大学卒業後に、独学でB1レベルに到達するために必要な学習時間となる。

・ゼロから学習をスタートした場合、卒業までの学習時間2,200時間を足した862.5+2,200時間=3,063時間がトータルで必要な学習時間と言える。

3000時間説はもう古い?

「日常英会話 期間」というように調べると多くのサイトが「日常英会話を習得するには3000時間かかる」としています。

この根拠となっているのは1974年にアメリカで行われた研究によるものです。

これがはアメリカの外務省が、狭き門を突破したエリート外交官向けに提供しているプログラムであり、1日8時間、2年間英語と近い言語を習得するのにかかった期間を計測したものです。

またこのプログラムで「習得」とされるレベルはC1レベル、つまりは英検1級レベルを想定しています。

このように、上記の研究は対象言語の習得難易度、学習者の知能、集中的な学習環境、到達点と主要な要素が、日本で一般的な学力の学習者が日常英会話レベルを習得するのとは大きく異なっています

これでは到底「日本人が日常英会話を習得するのに3000時間かかる」という根拠にはなり得ません。

今回、英語をゼロから始めた場合B1に到達するまでにかける学習時間は導出の結果、偶然3,000時間となりましたが、到達目標がB2, C1となれば話はかかる時間は大幅に変わりますし、大学教育までを受けた状態からの学習開始なのか、ゼロからなのか、によっても結果は大きく異なるので、自分のスタート地点を考慮した上で参考の数値としましょう。

まとめ

この記事では、「日常英会話のレベルってどれくらい?」「日常英会話が出来るようになるまで、どれくらいかかる?」という疑問に答えました。

まとめると以下のようになります。

日常英会話レベルはCEFRのB1レベル
日常英会話レベル(B1)に到達するまでには、ゼロからのスタートで3,000時間、大学卒業後からのスタートで800時間かかる

800時間も掛けられない…という方へ

この記事で紹介した大卒後、800時間という数値は量的な観点からは妥当性がありますが、あくまで一般的な学習者が独学で英語学習に取り組んだ場合を想定しており学習の質は重視されていません

そのため、個人に最適化された学習カリキュラムで英語学習を行えば、より早く日常英会話=B1レベルに到達することが出来ます。


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この記事を書いた人

現役の英語コーチ・講師が英語学習に関するお役立ち情報を発信中!
TOEIC985・英検1級保有

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