英会話よりも発音が先!英会話のための発音学習方法

英語の勉強で一番最初に取り組むのは発音です。

特に英会話において、発音は「聞き取れない」「聞き取ってもらえない」の原因になりやすいので、必ず最低限の基礎を身につけてから英会話に入りましょう。

この記事では以下の悩み・疑問に答えていきます。

・英会話に向けた発音の何を勉強したらいいの?
・音声変化ってなに?
・英会話のための発音の具体的な勉強方法は?

Kai

現役のコーチが厳選した練習法もご紹介します!

目次

英会話の前に取り組むべき発音の要素は4つ

英会話の前に取り組むべき発音の要素は以下の4つです。

  1. 音素
  2. 音声変化
  3. 流暢さ
  4. 抑揚(イントネーション)
Kai

1つずつ確認していきましょう!

①音素

音素とは音の最小単位です。

例えば、/tíːθ/などの発音記号に含まれている/t/, /íː/, /θ/のことを指します。


この最小単位の音素の時点で発音を誤っている場合、英文全体を読んだときに相手に英文を認識してもらえない可能性が高くなります。

例えば、日本語の「ア」に相当する音素は/ə/, /æ/, /ʌ/, /ɑ/の4つ存在します。

hat/hæt/, hut/hʌt/, hot/hɑt/はこの音素の発音が出来ないと、大きな誤解に繋がってしまいます。

②音声変化

音声変化とは単語内、および英単語同士の間で発音される際に辞書通りの読まれ方とは異なる読まれ方になる際のルールです。

例えば、例えば「get out」が速く読まれると「ゲラウト」に聞こえるようになるのは一定のルールに沿って「ゲット アウト」という読みから変化しているためです。

音声変化がマスターできていないと、発音が忙しく聞こえたり、なめらかに読むことができなくなったりしてしまいます。

③流暢さ

流暢さとは言い直しや沈黙なくスムーズに英語をアウトプットする力です。

スピーキングではライティングと違って「流暢さ」が求められます。

ライティングでは、時間の許す限り書き直したり、いい表現が浮かぶまで筆を止めることが出来ます。

しかし、スピーキングにおいてそれは「流暢さに欠ける」という評価になります。

流暢さは、すでに紹介した音素と音声変化の2つの知識がないと上達しません。

正しい音素と音声変化をスムーズに再現できるように、簡単な英文の音読からスタートしましょう。

④抑揚(イントネーション)

抑揚(イントネーション)とは、英文が英単語によって、強く・はっきり・読むところと弱く・あいまいに速く読まれる部分が存在することで生まれるリズムのことです。

日本語は一定のリズムで、英語話者にとってはイントネーションの少ない平坦な音に聞こえるようです。

一方英語では、イントネーションが非常に重要で、これがはっきりしていない読み方は非常に聞き取りづらいです。

例えば「Orange」という英単語でも「オウレンジ」というように赤字が強く読まれますが、これはアクセントと呼ばれます。

文単位で考えると「I talked about the issue with him.」というように赤字の意味的に重要な部分は強く・はっきり・読む必要がありますが、その他の部分は弱く・あいまいに速く読まれることで英語特有のリズムが生まれるわけです。

繰り返しになりますが、日本語と違って英語はイントネーションも聞き取りのときに大きなカギを握っているので、こちらもしっかり意識していきましょう。

リエゾンって何?音声変化の5つのルール

リスニングの際にリエゾンという言葉がよく登場しますが、これは複数の語を読むときに発生する音声変化のことを指します。

すでに「音声変化とは何か」については説明していますが、ここでは具体的な5つの音声変化について解説を加えていきます。

  1. 連結(リンキング)
  2. 同化(アシミレーション)
  3. ら行化(フラッピング)
  4. 脱落(リダクション)
  5. 弱形
Kai

学校では習いませんが、「英音法」とも言われるリスニングの超重要なルールです!

①連結(リンキング)

連結(リンキング)とは、単語の末尾と次の単語の語頭が繋がって発音される音声変化です。

単語の末尾が子音で終わり、次の単語が母音で始まるときに生じます。

連結(リンキング)の例
・change a look
通常「チェンジ ア ルック」だが、changeが子音で終わりaが母音で始まっているため、「チェンジャ ルック」となる。

・an ambassador
通常「アン アンバサダー」だが、anが子音で終わりambassadorが母音で始まっているため、「アナンバサダー」となる。

②同化(アシミレーション)

同化(アシミレーション)とは、隣り合う音が影響を受けて異なる発音になるものです。

/t/, /d/, /s/, /z/がyの音/j/と隣り合うときに生じます。

ものすごく簡略化して言うと、以下のようになります。(もちろん英語と日本語の子音は違いますが、イメージです。)

  • /t/+/j/「タチツテト」+y=「チャ・チ・チュ・チェ・チョ」
  • /d/+/j/「ダヂヅデド」+y=「ヂャ・ヂ・ヂュ・ヂェ・ヂョ」
  • /s/+/j/「サシスセソ」+y=「シャ・シ・シュ・シェ・ショ」
  • /z/+/j/「ザジズゼゾ」+y=「ジャ・ジ・ジュ・ジェ・ジョ」

具体例を見てみると、すでに皆さん使いこなしていることが分かります。

同化(アシミレーション)の例
・Did you
通常「ディド ユー」だが、/d/とy(/j/)が繋がっているため、「ディヂュー」となる。

・these years
通常「ディーズ イヤーズ」だが、/z/と(/j/)が繋がっているため、「ディージャーズ」となる。

③ら行化(フラッピング)

ら行化(フラッピング)とは、/t/, /d/の音が日本語のら行に近い音(たたき音)になる音声変化のことです。

/t/, /d/が母音、もしくは母音+/l/の音に挟まれるときに生じます。

ら行化(フラッピング)の例
・better
通常「ベター」だが、/t/が母音に挟まれているため、「ベラー」となる。

・little
通常「リトゥ」だが、/t/が母音と/l/に挟まれているため、「リロゥ」となる。

④脱落(リダクション)

脱落(リダクション)とは、本来発音されるべき音素が発音されずにスキップされる音声変化です。

発音されないといっても、完全にスキップされるわけではなく、本来発音されるべき音素の口の形までで寸止めするイメージです。

脱落には以下の4つのパターンが存在します。

  1. 語末の破裂音(/p/, /b/, /t/, /d/, /k/, /g/)が脱落する
  2. 子音が重なる場合に、前の子音が脱落する
  3. /t/, /k/, /d/が子音に挟まれるとき、脱落する
  4. /nt/の音で/n/が脱落する

それぞれの例を確認しましょう。

脱落(リダクション)の例

・語末の破裂音(/p/, /b/, /t/, /d/, /k/, /g/)が脱落する:Look at that.
通常「ルック アット ザット」だが、語末が破裂音/t/で終わっているため「ルック アット ザッ」となる。

・子音が重なる場合に、前の子音が脱落する:street dance
通常「ストリート ダンス」だが、/t/, /d/と子音が重なっているため「ストリーダンス」となる。

・/t/, /k/, /d/が子音に挟まれるとき、脱落する:endless
通常「エンドレス」だが、/d/が子音に挟まれているため「エンレス」となる。

・/nt/の音で/t/が脱落する:plenty
通常「プレンティー」だが、/nt/が含まれるため「プレンィー→プレニー」となる。

⑤弱形

弱形は文中の機能語が弱く・小さく・速く読まれることで、音が変化する音声変化です。

機能語とは、語自体が意味内容を持たず、文法上必要な機能として存在している語です。

一方、内容語は反対に意味内容をしっかりと持っている語群を指します。

機能語内容語 
冠詞
人称代名詞
関係代名詞
関係副詞
助動詞
be動詞
前置詞
接続詞
など
名詞
形容詞
数詞
指示代名詞
動詞
副詞
など

例えば、下の文章では太字の箇所が内容語となり、強く・大きく・ゆっくり・読まれますが、それ以外の機能語は弱く・小さく・速く読まれます。

He lost his arm in a car accident as a child.

弱形の例
・he:「ヒー」→「イー」
・of:「オブ」→「ゥブ」

英会話のための発音学習方法

英会話に入る前にすべき発音学習を4つのステップに分けて紹介していきます。

STEP
音素の学習

合格ライン

  • ELSAで発音の項目が「中級」
STEP
音声変化の学習

合格ライン

  • 5つの音声変化を何も見ずに説明できる
STEP
音読・シャドーイング学習

合格ライン

  • ELSAで総合評価が「中級」
Kai

それぞれのステップを詳しく見ていきます!

ステップ①音素の学習

日本語と完全に同じ発音はほとんどありませんから、母音・子音の発音の仕方を学びましょう。

特に英語の母音は日本語よりも数が多く、しっかり練習して発音が分けられるようにしましょう。


例えば、日本語の「ア」に相当する音素は/ə/, /æ/, /ʌ/, /ɑ/の4つ存在します。

hat/hæt/, hut/hʌt/, hot/hɑt/はこの音素の発音が出来ないと、大きな誤解に繋がってしまいます。


必ずDVDなどの映像を見て、口の動きを確認しながら再現するようにしましょう

音素の習得には「DVD&CDでマスター英語の発音が正しくなる本」がおすすめです。

このステップのゴールは、無料でAIによる発音診断が出来る「ELSA」というアプリのテストで「発音」の項目が「中級」になることです。

下の画像は実際のテストスコアの表示画面です。

真ん中が総合評価のパーセンテージで、周りに発音・流暢性・抑揚の3つの指標が表示されています。

このうち、音素の学習で鍛えられるのは「発音」なので、こちらの指標が「中級」表示されたらクリアしたと言えます。

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ステップ②音声変化の学習

音声変化自体は5つしか存在せず、そこまで難しい事項も存在しないので、とにかく概念を理解してあとは演習・実践を通して運動記憶として定着させていきましょう

「5つの音声変化がわかれば英語はみるみる聞き取れる」という参考書であれば10日間で音声変化がマスターできるようになっています。

どういうときに音声変化をするのかを覚えて、付属の演習問題を通して実際に聞き取れるようになればOKです。

このステップのクリア基準としては、何も見ずに以下の質問に何も見ずに答えられたらOKです。

ステップ合格基準となる質問
・連結とはなんですか?例を出して説明してください。
・連結はどんなときに起きますか?
・同化とはなんですか?例を出して説明してください。
・同化はどんなときに起きますか?
・ら行化とはなんですか?例を出して説明してください。
・ら行化はどんなときに起きますか?
・脱落とはなんですか?例を出して説明してください。
・脱落はどんなときに起きますか?
・弱形とはなんですか?例を出して説明してください。
・弱形はどんなときに起きますか?

ステップ③音読・シャドーイング学習

音素・音声変化の学習が終わったら、実際の英文を聞き・発音する練習に移行しましょう。

ポイントは「自分が思っているよりも簡単な英文からスタートする」です。

中学生の教科書レベルから始めてみてください。

すると簡単な英文でも「発音できない」ことに気づくかも知れません。

しかし、それは正しい反応です。

なぜなら、発音・音声変化がしっかりマスターできていれば、発音の回路が変わっているので簡単な英文でさえ読めなくなるのは当然だからです。

逆に以前と同じようにスラスラ読めてしまう場合は、以前と同じ読み方をしていることになるので、発音・音声変化をやり直しましょう。


このステップでは、中学レベルの英文を音素・音声変化を駆使して正しく聞き取り・発音できるようになることを目指していきます。

毎日の学習時間が長めに取れる場合は、この時点で英会話を並行してもOKです。

音源のスピード感と文章の完成度の観点から言うと「英会話・ぜったい・音読(標準編)」がおすすめです。

定期的にELSAのテストを受けて、総合評価で「中級」が出たらOKです。

すでに「発音」の項目だけ鍛えてあるので、音読によって「流暢性」と「抑揚」が鍛えられていることになります。

まとめ

この記事では以下の疑問・悩みに答えてきました。

・英会話に向けた発音の何を勉強したらいいの?
・音声変化ってなに?
・英会話のための発音の具体的な勉強方法は?

1つ目の「英会話に向けた発音の何を勉強したらいいの?」については以下の4つを紹介しました。

  1. 音素
  2. 音声変化
  3. 流暢さ
  4. 抑揚(イントネーション)

2つ目の「音声変化ってなに?」については以下の5つを説明しました。

  1. 連結(リンキング)
  2. 同化(アシミレーション)
  3. ら行化(フラッピング)
  4. 脱落(リダクション)
  5. 弱形

3つ目の「英会話のための発音の具体的な勉強方法は?」については以下のステップで進めることをおすすめしました。

STEP
音素の学習

合格ライン

  • ELSAで発音の項目が「中級」
STEP
音声変化の学習

合格ライン

  • 5つの音声変化を何も見ずに説明できる
STEP
音読・シャドーイング学習

合格ライン

  • ELSAで総合評価が「中級」
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この記事を書いた人

現役の英語コーチ・講師が英語学習に関するお役立ち情報を発信中!
TOEIC985・英検1級保有

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