英会話のための英作文トレーニングのポイントと具体的な勉強法
英会話の力を付けようと、多くの人がいきなり英会話に入って挫折している光景を見かけます。
現役の英語コーチ目線からすると、英会話の基礎が出来るまでは準備段階として自由英作文に取り組むのがベストです。
この記事では以下の疑問に答えていきます。
・英会話に繋げるための英作文トレーニングのポイントは?
・英会話に繋げるための英作文トレーニングの具体的な取り組み方は?
以下のポイントを抑えて取り組むことで、英会話の発話内容が劇的に進化します!
英会話のための英作文トレーニングのポイント
英作文と言っても、ここで紹介する英作文は「英会話のための英作文」です。
以下のポイントを抑えることで、英会話につながる英作文のトレーニングができます。
- 20分で書く
- 語数を数える
- 添削を受ける
- 短く簡単に書く
- 辞書を使わない
- 好きなお題で書く
漫然とライティングするのとでは大違いです!
①20分で書く
英作文を書くときは時間制限を設けましょう。
実際の英会話では、相手がいるのであまり長いこと考えてから喋りだすことはできません。
英作文の時点で、時間のプレッシャーを感じながらアウトプットしていきましょう。
また、時間を一定にすることで語数の変化を感じることができます。
②で語数を数えることをポイントとして挙げていますが、毎日違う制限時間で書いてしまうと語数の比較が面倒になります。
②語数を数える
英作文が終わったら語数を数えましょう。
私が提供している英作文シートでは自動で語数がカウントされるので、一定時間あたりに書ける語数が増えていくのが目に見えて分かります。
始めは20分で50語くらいしか書けなかったのが、軽く100語を超えるようになってくると受講者さんも成長を感じられますし、実際に英会話での発話量は増えていきます。
今までの受講者さんのデータからすると、各語数ごとのレベル感はこんな感じです。
- 50語:中学英語に不安があったり、アウトプットの経験がほとんどない方のスタート地点。英会話は成り立たない。
- 100語:中学英語はある程度理解しているが、まだまだアウトプットには不慣れ。簡単な応答は可能。
- 150語:しっかり大学受験までされてきた方のスタートライン。言いたいことに対して英文が出てこないが、短文での応答は可能。
- 200語:一定期間アウトプットを継続した方のみが超えられる壁。日常英会話程度なら成立させることが可能。
- 300語:アウトプットを長期間行い、「英語が話せる」と自信を持って言えるライン。込み入った話題に準備なしでは厳しい。
- 400語:英検1級ホルダーレベルで、周りからは完全に「ペラペラ」と思われる。英語で一通りの事ができる。
- 500語:フリーカンバセーションに事前準備なしでも全く問題ない。ここからは趣味の領域。
③添削を受ける
語数とともに大切なのは正確性です。
英作文では、自分で書いた英文が残るので可視化された状態で添削を受けることが出来ます。
特に初期は致命的な文法エラーがたくさん出るので、英会話よりも英作文でしっかり添削を受けたほうが後で楽になります。
④短く簡単に書く
英会話を前提にした英作文の場合、英作文の時点で簡単な表現で短くアウトプットすることを意識しましょう。
上級者あるあるですが、以下のような英文は英作文に繋がりません。
- 主語が長い
- 文章が長い
- 構文が入り組んでいる
「難しい英語を書く能力がある」とも言えますが、意識しないと長く・複雑な文章で書いてしまいがちです。
このまま英会話に移行した場合「英会話になると考える時間が長くなり、流暢に会話ができない」という悩みに繋がります。
短く・簡潔に書くためには以下のポイントがあります。
- 添削を受ける
- 人を主語にする
- 例文データを増やす
- 一文で表そうとしない
一番は添削を受けて「こういう発想の転換が必要」という具体的なアドバイスを受けることです。
文が長い・複雑なときはたいてい「無生物や動名詞などが主語になっている」ときです。
人を主語にすると、簡単に書ける英文が多くなります。
以下は実際の添削例です。
主語を無生物→人に変えた場合
「将来海外で働きたいと考えている人の数が増えている」
・主語が無生物の場合
The number of people who want to work abroad in the future is increasing.
・主語が人の場合
More and more people want to work abroad in the future.
このように日本語からの直訳で主語を立てようとするとかなり主語が重たくなる傾向があります。
自分ではなかなか気づきづらいですが、「迷ったら人を主語に」する意識があるだけでも違います。
第二言語習得理論では、英会話の実力は「チャンク表現の多さ」に強く依存するということが分かっています。
チャンク表現とは、定形表現などのカタマリを指しており、1から英文を組み立てていくよりもチャンク表現を接続することでスムーズで自然な英会話が実現出来るとされています。
例えばniceとtoとmeetとyouを使って、「nice to meet you=はじめまして」というチャンク表現が出来ます。
チャンク表現を覚えて、一部の単語を入れ替えるだけでどんどん英語が話せるようになります。
下の例では「It is 形容詞 to do」というチャンク表現において、形容詞と動詞の部分を入れ替えれば、非常に多くの事柄を英語で述べることが出来ることを説明しています。
チャンク表現の例
It is 形容詞 to do ▶ 〜するのは形容詞だ
このチャンク表現では「形容詞」の部分と「do」の部分をそれぞれ置き換えることで、幅広い表現ができます。
・形容詞:difficult
・do:get
It is difficult to get high scores on the test.
→テストで高得点を取るのは難しい。
・形容詞:common
・do:celebrate
It is common to celebrate one’s birthday at home in Japan.
→日本では誕生日を家で祝うのが一般的だ
このチャンク表現をたくさん覚えることで、英会話が劇的に上達します。
例文データとして、瞬間英作文やフレーズ暗記などでこのチャンク表現を増やすのがおすすめです。
英語上級者になるほど、自分の言いたいことを一文で表そうとする傾向があります。
英作文では何とか辻褄を合わせられても、英会話では長い英文は収拾がつかなくなりやすく、また相手も理解しづらいので長い英文は短く切って繋いでいきましょう。
⑤辞書を使わない
英会話を意識するなら、辞書を使わずに英作文をしましょう。
英会話では辞書を使って調べている時間はありません。
そして何より、基礎的な語彙・文法でほとんどのことは表現が可能です。
もちろん語彙は大いに越したことはありません。
しかし、辞書なしで自分の言いたいことが伝えられないようではいつまで経っても流暢に英会話などできません。
大切なのは、「辞書を使わずになんとか自分の知識で表せないか」を考えることです。
これは第二言語習得理論でいう概念化というプロセスです。
第二言語として英語を話せるようになっている人は、この能力が非常に高いです。
概念化を鍛える際のポイントは以下です。
- 長い文章で説明する
- 英語に直しやすい日本語に言い換える
ある英単語が分からない時には、回りくどくても説明してみましょう。
ここで諦めずにこの英単語の概念を相手に伝えようとすることで、徐々に英会話で分からない単語があっても伝えきることができるようになります。
例えば「処方箋」という単語が分からなかったとしましょう。
回りくどくても、「病院で医者から指示書を貰えるでしょ?それを薬局に持っていけば薬がもらえるやつだよ!」といえば、絶対伝わります。
この成長の機会を逃して、処方箋をGoogleで調べてしまう人と、自分の表現で伝えきる人とでは成長の角度が全く異なります。
次に、概念化の時点で常に英語に直しやすい日本語に言い換えましょう。
例えば、「彼はプロも顔負けのギタリストだ」と言いたい時に「face beats…」などと書く人はいませんよね。
上の日本語は英語に直しにくいわけです。
「彼はプロとほとんど同じくらい上手にギターを弾くことができる」とすれば「He can play the guitar almost as well as a professional.」と中学レベルの英語で表すことができます。
このとき、「彼はプロとほとんど同じくらい上手にギターを弾くことができる」という日本語さえ見れば、英語に簡単に直せる場合は、英会話の能力のうち文章化のプロセスではなく概念化の能力に問題があると言えます。
⑥好きなお題で書く
英作文で意外と困るのがお題の選定や、書き出すとそのお題に対する知識がないために筆が進まないということです。
英作文を長く続けるポイントは好きなお題で書くということです。
金融に興味がない人が金融のトピックで無理して書くことはないですし、動物が好きなら動物の話題から入っていけばいいのです。
英会話のための英作文トレーニングの具体的な取り組み方
いよいよ具体的な英会話のためのステップを紹介します。
英作文を何に書くのかなどを決めましょう。
英作文のお題を決めましょう。
毎回選ぶのは手間なのでまとめて10日分などを決めておくと良いです。
20分測って実際に英作文してみましょう。
辞書は使わずに、間違ってもいいのでとにかく語数を多く書きましょう。
書いた英作文はできれば添削を受けましょう。
添削を受けない場合は、自分で言いたかったけど言えなかった表現を復習したり、冠詞・三単現などの項目をチェックしたりしましょう。
各ステップを詳しく解説していきますね。
ステップ①英作文の準備をする
英作文の準備として、何に英作文を書くかを決めましょう。
選択肢としては
- 紙
- iPad
- パソコン
があります。
個人的におすすめはパソコンです。
タイピングのスピードが出るのと、手書きではなくタイプすることで語数を自動で数えることが出来、データの管理がしやすいためです。
もちろん紙やiPadに書くのも携帯性が優れていたり、運動記憶に残りやすいのでOKです。
以下は私が実際に自習用として使っているパソコン上の英作文シートです。
英作文を書き終えると自動で語数がカウントされるように関数を組んでいます。
さらに画面右側にあるように英作文の語数が自動でグラフ化されます。
これにより、わざわざ自分で語数を数えなくても自動で自分の語数の成長が可視化できるのでおすすめです。
こちらのシートがほしい方は無料で差し上げますので、お問い合わせフォームよりご連絡ください。
ステップ②お題を選ぶ
自由英作文を書く上で、意外と困るのが「お題の選定」です。
「お題がありすぎて困る」「自分の興味のあるお題がない」という方が本当に多いです。
お題の選定が負担で英作文が続かないのは非常に勿体ないです。
以下3つのお題の探し方を紹介します。
- 英検の予想問題
- ESLの質問集から選ぶ
- ChatGPTで好きなお題を作る
①英検の予想問題
こちらのweknowというサイトでは、無料で英検3〜1級のライティングの過去問を閲覧することが出来ます。
試験対策がしたい方や、アカデミックな話題で英作文を書きたい方におすすめです。
②ESLの質問集から選ぶ
こちらのConversation Questions for the ESL/EFL Classroomでは、英会話の質問集が無料で閲覧でき、以下のように大量の大テーマから絞り込んでたくさんのお題を見つけることが出来ます。
③ChatGPTで好きなお題を作る
英作文を長く続けるコツは自分の興味・関心に沿ったテーマで英作文をすることです。
Chat GPTを使えばAIに英作文のテーマを作ってもらうことが可能です。
例えば「プラモデルに関する英作文のトピックを5個作って」という指示を出せば、以下のようにプラモデルに関する英作文のトピックを生成してくれます。
ちなみに「日本語で」という条件を加えれば日本語でトピックを生成してくれます。
ChatGPTに無料で登録すれば誰でも生成できるのでおすすめです。
ChatGPTを利用する際には個人情報や所属団体の機密情報などは入れないようにしましょう!
私は上のようにお題をまとめて10個くらい生成して、上のシートに貼り付けているのでお題選定のストレスがほぼゼロです。
ステップ③時間を測って書く
お題の準備ができたら、実際に時間を測って書いてみましょう。
私は20分で実施していますが、自分の取れる学習時間に合わせて時間を決めましょう。
語数を測る場合、時間を常に一定にしておくと語数の伸びを比べやすくなります。
- 短く簡単に書く
- 辞書を使わない
2つを意識することで、より実際の英会話に近い形で英作文の練習ができます。
ステップ④復習する
英作文は書きっぱなしではNGです。
出来ることなら添削を受けることで、自分では気づかない間違いやよりよい自然な表現を早く獲得できます。
自分で復習する際のチェックポイントは以下です。
- 語数が伸びているか
- 文法的なエラーはないか
- 不自然な表現はないか
- 長すぎる文はないか
- 自分の知っている語彙・文法で表現できなかったか
語数が伸びているかどうかは自分で数えるか、上で紹介したシートで自動計算するといいです。
文法的なエラー・不自然な表現については、添削を受けない限り自分で気づいて修正するのは難しいです。
とはいえ、無料AIソフトで冠詞や三単現などのチェックは可能なので以下の記事を参考に使用してみましょう。
長すぎる文の検知に関しては、英作文を書く時に一文ごとに改行する癖をつけると一目瞭然です。
英会話が上手な人の英作文は短く、縦に長くなる傾向があります。
もちろん接続詞を使っている場合は長くても問題ありません。(3回以上使うとややこしいので切りましょう。)
そして一番大切なのが「自分の知っている語彙・文法で表現できなかったか」という観点を持つことです。
ポイントはすぐに調べるのではなく、一旦自分の知っている表現で言えないかどうかを考えてみる、という工程を挟むことです。
その後に、直接的に表せる表現をWebなどで調べてみましょう。
例えば、英会話中に「処方箋」という英単語が咄嗟に出てこずにメモしておいたとします。
レッスン後にはまず「処方箋を他の表現で表せないか」を考えます。
例えば「診察の後でもらえる薬の指示書」と言い換えれば「an instruction on the medicine which we can get after we see a doctor」とできます。
ここで自分なりの言い換えをせずに、すぐに調べてしまえば処方箋=prescriptionということがわかります。
しかし、これではいつまで経っても「辞書・ネットがないと話せない人」止まりで、咄嗟の言い換え能力は身につきません。
ぜひ英会話の復習の際には、「自分の知っている言葉でなんとか伝えられないか」を考えてみましょう。
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