リスニングの点数が上がらないのはなぜ?原因と理由を解説!
「リーディングは出来るようになったけど、リスニングがなかなか上達しない」と悩んだことはないでしょうか?
リスニングは学校英語でも軽視されており「大学受験レベルの難しい英文を読むことは出来る」という人でも、リスニングは苦手で中学英語すら速めの音源だと聞き取れない、という場合があります。
効率的にリスニング力をつけるためには、リスニングとはどんなプロセスなのかをしっかりと理解することが必須です。
この記事では以下の悩み・疑問に答えていきます。
・リスニングができないのはなぜ?
・自分の弱みにピッタリのリスニング・トレーニングは?
第二言語習得理論に基づいた科学的なアプローチで解説します!
リスニングが出来ない3つの原因
ここでは、英語のリスニングができない理由・原因を詳しく見ていきましょう。
以下はリスニングのプロセスを図式化したものです。
まずは矢印の左側「音声知覚」を見てください。
音声知覚は「読まれている英語を正しく聞き取る」プロセスです。
例えば「英語が速くて、何を言っているか分からない」場合は音声知覚で失敗していることになります。
次に矢印の右側「意味理解」を見てください。
意味理解は「聞き取った英語を読まれているスピードで正しく理解する」プロセスです。
例えば「聞き終わったときに頭に意味が残っていない」場合は意味理解で失敗していることになります。
音声知覚・意味理解の各プロセスでは、英単語の発音や音声変化のルール、英単語の意味や英文法などの知識のデータベースを参照しながら処理が進んでいきます。
この図を見ると、リスニングが出来ない原因は次の3つに分類出来ます。
- データベースに問題がある
- 音声知覚に課題がある
- 意味理解に課題がある
きれいに分かれているわけではありませんが、「自分の弱点はデータベースにあるかも知れない」と考えることで、そこに効くトレーニングに取り組もうという思考に至ることが出来ます。
それではここからは、以上の3つの「リスニングが出来ない原因」を深堀りしていきましょう。
リスニングが出来ない原因①データベースに課題がある
データベースに課題がある人の特徴
- スクリプト(原稿)を読んでも意味が分からない
- 英単語の発音があやふや
- 聞こえてくる英文の切れ目が分からない
語彙・文法の知識が欠落している場合、データベースに欠陥があると言えます。
英単語で言えば、文章中に登場する98%の英単語が瞬時に理解できないとその英文の意味を正確に解釈するのは難しくなります。
英文法で言えば、英文法を知らずに英文を正確に読むことは出来ません。
英単語の意味をつなげて読むのには限界がありますし、英文法を理解していれば、文の切れ目が分かったり、その後の構造が予測できるため、聞き直しが出来ないリスニングでも大いに理解度が上がります。
データベースに欠陥がある場合、音声を聞きながらの英単語帳学習、英文法の学習がおすすめです。
リスニングが出来ない原因②音声知覚に課題がある
音声知覚に課題がある人の特徴
- スクリプトを読めば意味がわかるけれど、リスニングになると聞き取れなくなる
- 聞き取れた少数の単語から意味を予測している
- 個別の音素・音声変化のルールを知らない
スクリプトを読めば意味がわかるけれど、リスニングになると聞き取れなくなる、というのは日本人に一番多い現象です。
日本の学校英語ではリスニングが重視されていないため、そもそも英文を読んだ量に対して英文を聞いた量が圧倒的に不足しています。
そのため、大学受験レベルの英文を読める方でも案外中学レベルの英文で構成された英文を十分に理解できないことが多々あります。
これは音声知覚上の課題であり、簡単な英文をゆっくりなスピードから正確に聞いていく「精聴」トレーニングが有効です。
少ない教材を何度も完璧に真似できるようになるまで、聞き込み・発音することでリーディング力とリスニング力の乖離をなくしていくことが出来ます。
質の高い精聴トレーニングを重ねることで、リスニングの英文のスピード、リズム、発音に慣れていきます。
また、音素・音声変化を知らないというのは、データベースと音声知覚の両方にまたがる問題です。
音素というのは発音の最小単位のことで、/tíːθ/などの発音記号に含まれている/t/, /íː/, /θ/のことを指します。
リスニングは音の世界ですから、その最小単位を知らないのは、アルファベットが読めない状態で英文を読もうとしているのと同じです。
音声変化というのは単語内、および英単語同士の間で発音される際に辞書通りの読まれ方とは異なる読まれ方になる際のルールです。
例えば、例えば「get out」が速く読まれると「ゲラウト」に聞こえるようになるのは一定のルールに沿って「ゲット アウト」という読みから変化しているためです。
これはいわばリスニングにおける文法のようなものですから、これを知らずにリスニングを行うのは、英文法を知らないまま英文を読もうとしているのと同じです。
「音素」と「音声変化」の2つの基礎を身につけることで、その後のリスニング学習の効率が劇的に向上します。
リスニングが出来ない原因③意味理解に課題がある
意味理解に課題がある人の特徴
- スクリプトを読むのに時間がかかる
- 文章が長くなるとわけがわからなくなる
- 話の大体はわかるが、全体として何を言いたいのかわからない
- 単語は聞き取れても、文全体の意味がパッと入ってこない
リスニングで「音は取れるけど、処理が追いつかなくて、聞き終わったときに内容が頭に残らない」というのは意味理解における課題です。
そもそもスクリプト(リスニングの原稿)を読んで理解できない場合は、データベース上の課題ですが、読めば分かるのに聞いたら追いつかないというのは意味理解上の課題です。
案外、大学受験を経て「かなり難解な英文でも、時間を掛ければ意味が取れる」という方でも、その読み方の特性のために意味理解が追いつかないケースがあります。
リスニングでは、次から次へと英文が流れてくるため、日本語と語順が正反対の英語を「日本語の語順に直して、後ろから」という解釈は通用しません。
学校英語では、何度も書いている通りリーディング偏重の傾向があるので、英文の意味を後ろから取っていても問題ないですし、先生も気づきません。
しかし、リスニングでは英文の意味を前から、英語の語順のまま解釈していくことが求められます。
この場合は、スラッシュリーディングで英文の構造を捉えながら切れ目ごとに意味をカタマリで前から取っていく読み方を身に着ける必要があります。
まとめ:自分のリスニングの弱点に効くトレーニングを
この記事では、「リスニングができないのはなぜ?」「自分の弱みにピッタリのリスニング・トレーニングは?」という点について解説しました。
「課題に対応した勉強をする」ということが出来ていない場合、リスニングがいつまで経っても向上しません。
例えば、効率の良い掃除は「汚れが目立つところを見つけて、その汚れを除去するのに効果的な方法を考え、実行する」のが当たり前です。
しかし、こと英語学習になるとこの当たり前の流れ、すなわち「課題の特定→学習プラン→実行」というステップを踏まずにとりあえず「聞き流し」「Youtuberがやっている勉強法を真似る」「海外ドラマや洋画を見る」という行動に走ってしまいがりです。
この記事で紹介しているように、まずはしっかりと課題を分析してから、自分に合う学習法を見つけましょう。
コメント