リスニングは無理ゲーではありません。必ず聴こえるようになる勉強法!
この記事を見ている学習者の方は、英語のリスニングは無理ゲーだと感じているのではないでしょうか?
リーディングに比べると、英語のリスニングは無理ゲーと感じている方が多いです。
この記事では、以下の疑問にお答えしていきます。
・英語のリスニングが無理ゲーと感じるのはなぜ?
・英語のリスニングのメカニズムは?
・英語のリスニングが聞こえない原因は?
・無理ゲーと感じているひとにおすすめの英語のリスニング学習法
この記事を読めば、英語のリスニングが無理ゲーでなくなりますよ〜!
なぜ英語のリスニングは無理ゲーだと感じるのか?
英語のリスニングが無理ゲーと感じやすいのは以下の理由からです。
- 短時間で成果が出ないから
- なぜ聞き取れないかが分からないから
- どうやって勉強していいかが分からないから
1つ1つ深掘りして解説していきます!
短時間で成果が出ないから
英語のリスニングは一朝一夕で上達することはないため、短期で成果を求める方にとっては無理ゲーと感じられるかもしれません。
この記事の後半で紹介する学習ステップを踏めば、リスニング上達にかかる期間を短縮できますが、明確な効果を感じるには最低3ヶ月は覚悟しておきましょう。
自分の弱点にフォーカスした正しい学習を行えば、リスニングは無理ゲーということはありませんから安心してくださいね。
なぜ聞き取れないかが分からないから
リスニングはリーディングに比べて、「音の聞き取り」が入るため、リスニングがうまくいかない理由が分かりづらくなっています。
リーディングでは英文中に未知の単語が多ければ「英単語を勉強すれば読めるようになりそう!」という予測を立てることが可能ですが、リスニングではそれは難しいのです。
「今リスニング出来なかったと感じたのは、なんで?音かな?意味かな?」と、聞き取れない原因の特定が難しいのです。
これを解消するためには、リスニング時の脳のプロセスをしっかりと理解してなぜ聞き取れないのかを科学的に分析できるようになることが必要です。
この次のセクションで画像付きで分かりやすく紹介しますから、ぜひご覧になってください。
どうやって勉強していいかが分からないから
リーディングの勉強、というと英単語・英文法を勉強して、英文を一つ一つ丁寧に勉強すればいいというのがなんとなく分かる方も多いです。
しかし、リスニングの勉強法を明確に語れる方は多くありません。(いても「何度も聞く」程度です。)
これは学校教育での慣れが大きいでしょう。
毎回の授業がリーディングの勉強法の基本になっており、授業の前に英単語と文法を調べて、授業で先生の解説をもとに英文の読み方を徐々に身につけていくわけです。
しかし、学校でリスニングの勉強の方法を教わったという方はあまりいません。
実際、学校の先生自体が英語のリスニングのメカニズムをよく知らなかったり、リスニングに苦手意識があったりすることも影響しているのでしょう。
リスニングのメカニズムを知り、それぞれのプロセスを特訓すればリスニングは必ず上達しますからご安心ください。
英語のリスニングのメカニズム
すでに紹介した通り、英語のリスニングが無理ゲーと感じる主な原因は「なぜ聞き取れないのかが分からず、勉強法もも分からない」ためです。
これを解決するには、英語のリスニングのメカニズムを正しく知ることが重要です。
英語のリスニングのメカニズムを正しく知ることで、聞き取りのどの部分に課題があるのかが分かり、それに合わせたトレーニングに取り組めるようになります。
以下は第二言語習得理論に基づいて、リスニング時の脳内処理を図式化したものです。
画像下部の「データベース」には英語のリスニングに必要な知識が示されています。
画像上部左の「音声知覚」は、英語の音声を認識するプロセスです。
例えば/igræbdətɑʊl/と聞こえてきたものを「He grabbed a towel.」と認識するプロセスです。
音声知覚の際には、データベース内の音声に関する知識を参照して音を認識します。
上の例であるように、まずは聴こえてきた音素を識別し、それがどの単語を指すのか、そして音声変化をしている場合はそれも合わせて確認します。
画像上部右の「意味理解」は、聴き取った音声から正しく意味を読み取るプロセスです。
意味理解の際にも、データベース内の意味に関する知識を参照して意味を読み取ります。
上の例で続けると、He grabbed a towel.という音を聴き取った後、英単語の意味と文法をもとに意味を理解します。
Heは主語であり、彼という意味であること、grabは動詞で掴むという意味があり、ここでは過去形になっていることなどのデータベース内の知識を使って「彼はタオルを掴んだ」という意味を導きます。
無理ゲーじゃなくなる!リスニングが聞き取れない原因診断
一口に英語のリスニングが聞こえない、と言ってもその原因は多種多様です。
この原因を特定し、それに合ったトレーニングを行うことで圧倒的に効率的にリスニング能力を高めることが出来ます。
以下の図は、第二言語習得理論をもとに、英語のリスニングが聞こえない原因を分類するためのものです。
左側の箇条書きの中で、自分に当てはまるものを考えてみましょう。
当てはまった内容の右側が課題がある分野です。
例えば、「聞き取れた少数の単語から意味を予測している」という場合は、矢印右側の「音声知覚」の能力に課題があることが分かります。
課題は一つではないと思いますが、自分のリスニングが明確になれば効果的な学習が可能です。
ここからは、データベース・音声知覚・意味理解に課題がある時にそれぞれどのようなトレーニングが有効であるかを解説していきます。
データベースに課題がある場合の対策
データベースに課題がある人の特徴
- 英単語の発音があやふや
- 聞こえてくる英文の切れ目が分からない
- スクリプト(原稿)を読んでも意味が分からない
語彙・文法の知識が欠落している場合、データベースに欠陥があると言えます。
英単語で言えば、文章中に登場する98%の英単語が瞬時に理解できないとその英文の意味を正確に解釈するのは難しくなります。
英文法で言えば、英文法を知らずに英文を正確に読むことは出来ません。
英単語の意味をつなげて読むのには限界がありますし、英文法を理解していれば、文の切れ目が分かったり、その後の構造が予測できるため、聞き直しが出来ないリスニングでも大いに理解度が上がります。
データベースに欠陥がある場合、音声付きの英単語帳学習、英文法の学習がおすすめです。
音声知覚に課題がある場合の対策
音声知覚に課題がある人の特徴
- 個別の音素・音声変化のルールを知らない
- 聞き取れた少数の単語から意味を予測している
- スクリプトを読めば意味がわかるけれど、リスニングになると聞き取れなくなる
スクリプトを読めば意味がわかるけれど、リスニングになると聞き取れなくなる、というのは日本人に一番多い現象です。
日本の学校英語ではリスニングが重視されていないため、そもそも英文を読んだ量に対して英文を聞いた量が圧倒的に不足しています。
そのため、大学受験レベルの英文を読める方でも案外中学レベルの英文で構成された英文を十分に理解できないことが多々あります。
これは音声知覚上の課題であり、簡単な英文をゆっくりなスピードから正確に聞いていく「精聴」トレーニングが有効です。
少ない教材を何度も完璧に真似できるようになるまで、聞き込み・発音することでリーディング力とリスニング力の乖離をなくしていくことが出来ます。
質の高い精聴トレーニングを重ねることで、リスニングの英文のスピード、リズム、発音に慣れていきます。
また、音素・音声変化を知らないというのは、データベースと音声知覚の両方にまたがる問題です。
音素というのは発音の最小単位のことで、/tíːθ/などの発音記号に含まれている/t/, /íː/, /θ/のことを指します。
リスニングは音の世界ですから、その最小単位を知らないのは、アルファベットが読めない状態で英文を読もうとしているのと同じです。
音声変化というのは単語内、および英単語同士の間で発音される際に辞書通りの読まれ方とは異なる読まれ方になる際のルールです。
例えば、例えば「get out」が速く読まれると「ゲラウト」に聞こえるようになるのは一定のルールに沿って「ゲット アウト」という読みから変化しているためです。
これはいわばリスニングにおける文法のようなものですから、これを知らずにリスニングを行うのは、英文法を知らないまま英文を読もうとしているのと同じです。
「音素」と「音声変化」の2つの基礎を身につけることで、その後のリスニング学習の効率が劇的に向上します。
意味理解に課題がある場合の対策
意味理解に課題がある人の特徴
- スクリプトを読むのに時間がかかる
- 文章が長くなるとわけがわからなくなる
- 単語は聞き取れても、文全体の意味がパッと入ってこない
- 話の大体はわかるが、全体として何を言いたいのかわからない
リスニングで「音は取れるけど、処理が追いつかなくて、聞き終わったときに内容が頭に残らない」というのは意味理解における課題です。
そもそもスクリプト(リスニングの原稿)を読んで理解できない場合は、データベース上の課題ですが、読めば分かるのに聞いたら追いつかないというのは意味理解上の課題です。
案外、大学受験を経て「かなり難解な英文でも、時間を掛ければ意味が取れる」という方でも、その読み方の特性のために意味理解が追いつかないケースがあります。
リスニングでは、次から次へと英文が流れてくるため、日本語と語順が正反対の英語を「日本語の語順に直して、後ろから」という解釈は通用しません。
学校英語では、何度も書いている通りリーディング偏重の傾向があるので、英文の意味を後ろから取っていても問題ないですし、先生も気づきません。
しかし、リスニングでは英文の意味を前から、英語の語順のまま解釈していくことが求められます。
この場合は、スラッシュリーディングで英文の構造を捉えながら切れ目ごとに意味をカタマリで前から取っていく読み方を身に着ける必要があります。
リスニングが無理ゲーだと感じている人のための学習方法
ここまで読んでいただいた方は、もはやリスニングが無理ゲーではなく、しっかりと科学的に学習すれば十分伸ばせる能力だと感じているのではないでしょうか?
最後にまとめとして、リスニングが無理ゲーと感じている方がリスニング能力を上げるための学習方法を紹介します。
流れとしては以下のようになります。
この記事を読めば、自分のリスニングが聞き取れない原因が第二言語習得理論をもとに分析できます。
これでリスニングの課題が明確になります。
自分の課題に合った学習に取り組みましょう。
ステップ1で特定した課題を解決する形で、学習に取り組みましょう。
以下のように、課題別にやるべきことを明確に出来ます。
・データベースに不安がある人
→発音・語彙・文法を固めてから、リーディング・シャドーイングなどのトレーニングに移行しましょう。
・音声知覚に不安がある人
→音声変化を学んだ後、シャドーイングのスピードを徐々に上げていきましょう。
・意味理解に不安がある人
→スラッシュリーディングを用いた精読を簡単な英文から始めましょう。
次に気になるのは、「じゃあ発音はどの教材をどう取り組めばいいの?」ということですよね。
それについては、教材やトレーニング方法を以下の記事で詳しく解説していますので、この記事で弱点診断が終わったら読んでみてくださいね。
コメント