TOEICの「塗り絵」とは?塗り絵をしてもOKな理由と対策
TOEICの勉強をしていると「塗り絵」というワードを目や耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか?
「英語の試験で塗り絵?絵の色を塗っている時間はないよ!」という方のために、この記事では以下の疑問についてお答えしていきます。
- TOEICの「塗り絵」ってなに?
- 塗り絵の数とTOEICスコアの関係は?
- TOEICで塗り絵をしてもOKな理由は?
- TOEICのリーディングパートではどんな問題を塗り絵すべき?
- TOEICの塗り絵問題を減らすには?
TOEICの「塗り絵」ってなに?
TOEICにおける「塗り絵」とはリーディングで解き終わらない問題を適当にマークする行為を指します。
TOEICでは全問マークシートで、問題文を読まずにマークを塗りつぶすことを揶揄して「塗り絵」と表現します。
リスニングは問題が勝手に進んでいくので、塗り絵をすることはありませんが、リーディングは自分で時間配分を決めて進めていくため、後半の問題が解き終わらずに塗り絵をする受験者が多くいます。
塗り絵は特に問題の順序が後で、読解量も多く、時間制限が特に厳しいリーディングパートの後半で発生することが多いです。
「リーディングの後半20問は塗り絵だった…」というのは、リーディングの後半20問が時間が足りずにマークシートを適当に塗りつぶすしかなかった、という意味になります。
TOEICは全問がマーク式ですから、分からない問題もとりあえず選択肢のいずれかを塗りつぶせば1/4〜1/3の確率で正答することができます。
「何も塗りつぶさないよりは…!」という思いで塗り絵をするわけです。
塗り絵の数とTOEICスコアの関係は?
TOEICで塗り絵をした問題の数とスコアの関係の目安は以下のようになります。
*あくまで拾い読みなどをせずに進めていった場合の塗り絵の数と予想スコアです。
- 塗り絵0問→950点以上
- 塗り絵5問→900点
- 塗り絵10問→800点代後半
- 塗り絵15問→800点
- 塗り絵20問→750点
- 塗り絵25問→700点
- 塗り絵30問→650点
- 塗り絵35問→600点
- 塗り絵40問→550点
こちらの塗り絵の数とスコアの関係性はこれまでの自分自身、受講者の受験経験と以下のTEX加藤氏のデータから予想しています。
塗り絵が0問の場合は、正答率が9割で460点、リスニングは満点を取れる実力があるでしょうから495点で合計は955点。
塗り絵が5問の場合は、正答率が9割で440点、リスニングはかなりハイレベルでしょうから460点で合計は900点。
塗り絵が10問の場合は、正答率が9割で425点、リスニングはかなりハイレベルでしょうから440点で合計は865点。
塗り絵が15問の場合は、正答率が8.5割で380点、リスニングはハイレベルでしょうから420点で合計は800点。
塗り絵が20問の場合は、正答率が8.5割で350点、リスニングはハイレベルでしょうから400点で合計は750点。
塗り絵が25問の場合は、正答率が8割で330点、リスニングは370点で合計は700点。
塗り絵が30問の場合は、正答率が8割で315点、リスニングは335点で合計は650点。
塗り絵が35問の場合は、正答率が7.5割で280点、リスニングは320点で合計は600点。
塗り絵が40問の場合は、正答率が7.5割で250点、リスニングは300点で合計は550点。
あくまで予想の範疇ですが、リーディングのスピードが速くなるほど正確に読んで正答率を高く保ち、リスニングの能力も比例して高くなっていくことを計算に入れています。
またTOEICでは通常リーディングよりもリスニングのほうがハイスコアが出やすいためそれも考慮に入れています。
TOEICで塗り絵をしてもOKな理由は?
TOEICで「塗り絵」というと、リーディング最後まで解き終わらなかったというニュアンスで「ネガティブ」な言葉のイメージを持っている方が多いでしょう。
しかし、英検とは違って全受験者が同じ問題を解くTOEICでは特にロースコアの方は塗り絵をうまく活用することで、自分の解ける問題に時間を多く割き、スコアを高く出すことができるようになります。
塗り絵をしてもOKな理由は以下の3つです。
- 塗り絵をしても目標スコアに届くことが多いから
- 解ける問題に時間を割いたほうが、自分の実力を発揮できるから
- 塗り絵をすれば多少は点数が期待できるから
塗り絵をしても目標スコアに届くことが多いから
すでにお見せしたように塗り絵をしてもハイスコアは十分目指すことができます。というよりも普通に解いて時間内に解き終わるのは950点という超ハイスコアホルダー達だけです。
- 塗り絵0問→950点以上
- 塗り絵5問→900点
- 塗り絵10問→800点代後半
- 塗り絵15問→800点
- 塗り絵20問→750点
- 塗り絵25問→700点
- 塗り絵30問→650点
- 塗り絵35問→600点
- 塗り絵40問→550点
例えば、800点代後半を目指すなら、10問塗り絵をしても大丈夫ということです。
時間内に終わらせようとして、全体の正答率が低くなってしまっては元も子もありません。
こちらの表も再掲ですが、800点後半を目指す場合、10問塗り絵で正答率9割を目指せばリーディングのスコアは425点となり、目標スコアは達成できるでしょう。
しかし、すべての問題を解こうとして正答率が落ちた結果、解き残しは0問でも正答率が7割になってしまえばリーディングのスコアは345点となり結果的にスコアは大きく下がってしまいます。
このようにリーディングは塗り絵の数と正答率を見て適切なスピード感で解くことで目標のスコアに到達しやすくなるでしょう。
解ける問題に時間を割いたほうが、自分の実力を発揮できるから
繰り返しになりますが、TOEICは比較的簡単な問題から、満点ホルダーも唸る難問まで幅広いレベルの問題が出題されます。
950点以上を目指す人以外は、解けない問題に時間を割いて自分が解けるはずの問題に手が回らない、ということがないようにしましょう。
テクニック論ではなく、解けない問題は飛ばして、自分が解けそうな問題に時間を割くことで自分の今の英語力で精一杯のスコアを出すことができるでしょう。
塗り絵をすれば多少は点数が期待できるから
マーク式の試験であるTOEICでは、とりあえずマークすればパート2では1/3、それ以外のパートでは1/4の確率で正答することができます。
何も書かなければ0点ですし、時間が残り1分になったら残りの解けていない箇所は適当にマークしてしまう習慣をつけましょう。
また途中の問題が難しくて飛ばす場合は、マークを空欄にせずに必ずマークしてから次の問題に移るようにしましょう。
そもそもTOEICでは後から戻ってきて解く時間がない、というのとマークを飛ばすとマークシート上でズレが生じやすくなるためです。
TOEICのリーディングパートではどんな問題を塗り絵すべき?
TOEICではすべての問題を解かなくてもハイスコアが取れること、むしろ解けない問題を塗り絵していくことで、解ける問題に時間を割くことができスコアは上昇していきます。
ではリーディングパートのそれぞれで、どのような問題は難度が高く塗り絵していくべきなのでしょうか?
このセクションでは塗り絵にすべき問題をPartごとにまとめていますので、自分のスコアと解答スピードに合わせて確認してみてくださいね。
Part5の塗り絵すべき問題
- 語彙問題で選択肢の単語の意味が2つ以上分からない
- 後半10問
Part5の語彙・文法問題は、以下の3パターンでの出題となります。
- 品詞・文法を問われている問題
- 語彙を問われている問題
- 1・2が組み合わされた問題
このうち、以下の問題は上記の2にあたり、品詞がすべて形容詞で統一されており語彙を問われる問題となっています。
この種の問題は意味からの判断が求められ、文章もすべて読む必要があるため選択肢の単語の意味が2つ以上分からない場合は塗り絵をして次に進むのが吉です。
また、Part5は後半になるにつれて問題のレベルが上がる傾向にあります。
スコアにもよりますが、後半で時間を使ってしまう人は、特に難しい後半10個の問題で悩む場合はすぐに塗り絵をして次の問題に進むようにしましょう。
Part6の塗り絵すべき問題
- 文挿入問題
TOEICのパート6は長文穴埋めで、一つの長文に対して4つの設問を1セットとすると合計4セット出題されます。
解答時間の目安は8分で、一つの長文にかけられるのは2分とかなり時間制限が厳しいパートです。
4つの設問のうち、1つは文挿入問題といって空欄に当てはまる英文を一つ選ぶ問題があります。
2枚目の写真のように明らかに選択肢の語数が多く、一文丸ごとが選択肢になっているのが特徴です。
この問題は前後の文脈把握が必要で難度が高く、時間もかかるため目標スコアが800点以下の場合は捨て問にしてしまって3/4の問題を解くのがおすすめです。
以下のように一文丸ごとが選択肢になっており、前後の文脈からの判断が必要となる難題。
Part7の塗り絵すべき問題
- NOT問題
- シングルパッセージ後半(No.165~175あたり)
- 推測問題
Part7で時間がかかるのがNOT問題です。
NOT問題とは、以下のように4つの選択肢のうち本文に当てはまらない、「〜でない」ものを選ぶ問題です。
こちらは正しい選択肢を一つだけ選ぶ問題に対して、4つ根拠を探しに行く必要があるため時間がかかります。
長文が解き終わらない場合、この問題を飛ばしてしまうのもアリです。
次に、シングルパッセージの後半は難度が高めになっているので少し読んで意味がわからなければ撤退するのも手です。
Part7は文書の数に応じて、文書が一つの場合はシングルパッセージ、二つの場合はダブルパッセージ、三つの場合はトリプルパッセージ、というように後半になるにつれて参照する文書の数が増えていくようになっています。
一般的には文書の数が多いほうが難しい、というイメージがありますが文書の内容自体が難しいのは実はシングルパッセージの後半の出題、問題番号で言うとNo.165~175あたりの問題です。
反対に、トリプルパッセージ問題は文章量が多いですが、実は簡単に答えられる問題もあるので難度の高いシングルパッセージを塗り絵にして、トリプルパッセージの簡単な問題に取り組むのがおすすめです。
最後に、Part7で難しいのは「推測問題」問題です。
本文内に直接的な答えが明示されておらず、本文の内容から正解を推測することが求められます。
例えば、上記の問題で仮に(C)が正解の選択肢だったとしましょう。
このとき、本文中に直接「#3397は2月に出荷された」と書かれることはなく
- メールの日付が3月である
- 本文中に「先月頼んだ商品が届いていない」
- 担当者からの返信メールに「その月に発送されている」
といった手がかりから答えを推測する必要があります。
他にも以下のような設問は類推問題と言われる問題で時間がかかるため、後半の参照箇所が多いダブルパッセージ、トリプルパッセージ問題では塗り絵にしてもいいでしょう。
- What is implied about~?
- What can be inferred about~?
- What is suggested about~?
- What is most likely~?
- Who is most likely〜?
TOEICの塗り絵問題を減らすには?
TOEICの塗り絵問題を減らすには以下の5つの対策が有効です。
- 語彙を強化する
- 文法問題は形から解くようにする
- 時間配分を守って解ける問題だけを解く
- 各パートの塗り絵の数を決めておく
- 英語コーチングを受講する
語彙を強化する
語彙はリーディングパートすべてにおける基礎となり、語彙・文法問題では選択肢の単語の意味分かれば正答率は増えますし、読解においても単語の意味が分かれば内容把握もスピーディかつ容易になります。
目安としては目標スコアの10倍の語彙力を目指しましょう。
例えば700点を目指すなら7000語を習得するといいでしょう。
現在の語彙力を知りたい場合は、Test your English vocabularyというサイトで5分程度でチェックすることができます。
回答を終えると以下のように結果が表示されます。例えば以下の場合だと語彙力は10,436語あることになります。
意味が分かる英単語にチェックを入れていくだけで語彙力が簡単に測定できます。いろいろ試しましたがこちらのサイトは割と正確だと思います。
文法問題は形から解くようにする
文法問題は普段の演習から「形で解く」ようにしましょう。
TOEICのPart5の語彙文法問題では以下の3パターンの出題があります。
- 品詞・文法を問われている問題
- 語彙を問われている問題
- 1・2が組み合わされた問題
このうち、2と3のパターンの出題では、まず形から解くようにすることで解答までの時間を大幅に短縮することができます。
例えば以下はパターン2の出題で、選択肢には同じ意味を持つ単語が品詞別に展開されています。
この問題を解くときには、文章を頭から読まずとも、be動詞の後ろで副詞の修飾対象となる形容詞(D)complicatedが答えになることがすぐに分かります。
また以下の問題はパターン3です。
下線部の後ろは文章になっているため、接続詞の(B), (C)に絞れます。
その後に、完了形で文意も通るため(C)が正解であることが分かります。
4択から考えるよりも、まずは形で絞った後に意味を考えることで解答のスピードを速くすることができます。
時間配分を守って解ける問題だけを解く
TOEICの塗り絵でもったいないのは、Part7後半の20問がまるまる残っている、というようなパターンです。
同じ塗り絵をするにしても、難度が高い・時間がかかりそうな問題を飛ばすのと、順番に解き進めて最後の問題が余ってしまうのとではスコアは変わってきます。
下の表はリーディング各パートの問題数と出題分野、目安の解答時間を一覧にしたものです。
Part5 | Part6 | Part7 | |
---|---|---|---|
問題数 | 30問 | 16問 | 54問 |
分野 | 語彙・文法 | 短文穴埋め | 長文読解 |
目安の解答時間 | 10分 | 8分 | 57分 |
まずPart5は以下のような語彙・文法の穴埋めで、30問を10分で解き切るためには一問あたり20秒で解き続ける必要があります。
次にPart6は長文穴埋めで、一つの長文につき4つの穴埋めが必要となります。こちらも8分以内に解くためには一つの長文にかけられるのは2分と非常に短い時間となります。
最後にPart7は長文読解パートとなっており、非常に多くの英文を読んで迅速に設問に答えていく必要があります。
特にトリプルパッセージと言って、後半で出題される3つの文書を読んで複数箇所を参照しながらの解答が求められるところで時間内に終わらない人が続出しています。
普通に頭からすべての問題を解こうとすると、時間内に解き終わるのはTOEIC950オーバーの人くらいでしょう。
それ以下のスコアの人は普通に解いても終わらないので、解き始めてから難しい問題を飛ばしながら最後の文章問題も解ける問題を拾っていくようにしましょう。
例えば文法問題を10分で解くためにはすでに紹介したような「塗り絵にすべき問題」は解かずにすぐに解ける問題だけを解くことで解答時間を10分以内に収めましょう。
言い換えれば「10分以内で解答が終わるように塗り絵をしていく」となります。
この時間配分ルールを守って、
- Part5は10分で解答が終わるように塗り絵をしていく
- Part6は8分で解答が終わるように塗り絵をしていく
- Part7は残り時間で最後の大問まで解答が進められるように塗り絵をしていく
というようにすることで、「最後の20問がまとめて解き終わらない」という状態から、「ところどころわからない箇所は塗り絵して、解ける問題はすべて解いた」という状態に持ってくることができます。
各パートの塗り絵の数を決めておく
こちらの塗り絵した問題数とスコアの関係(再掲)から、目標のスコアに対して何問くらいは塗り絵できるのかを確認しておきましょう。
- 塗り絵0問→950点以上
- 塗り絵5問→900点
- 塗り絵10問→800点代後半
- 塗り絵15問→800点
- 塗り絵20問→750点
- 塗り絵25問→700点
- 塗り絵30問→650点
- 塗り絵35問→600点
- 塗り絵40問→550点
例えば800点が目標なら、塗り絵は15問までOKで、その代わりに解いた問題は正答率が9割になるのを意識していくといいでしょう。
そのうえで、以下のように各パートで何問くらい塗り絵していいか、というマイルールを決めておきましょう。
- Part5は3問まで塗り絵して10分で解答する
- Part6は4問まで塗り絵して8分で解答する
- Part7は8問まで塗り絵して57分で解答する
このようにしておくと、解けない問題が来ても「Part5は3問まで塗り絵できるからここは飛ばして解ける問題を解こう」とポジティブなマインドで精神的余裕を持って解ける問題に向き合うことができるでしょう。
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TOEICの塗り絵についてのまとめ
この記事では以下の疑問について答えてきました。
- TOEICの「塗り絵」ってなに?
- 塗り絵の数とTOEICスコアの関係は?
- TOEICで塗り絵をしてもOKな理由は?
- TOEICのリーディングパートではどんな問題を塗り絵すべき?
TOEICの「塗り絵」とはリーディングで解き終わらない問題を適当にマークする行為です。
塗り絵の数とTOEICスコアの関係は、以下のように推測できます。
- 塗り絵0問→950点以上
- 塗り絵5問→900点
- 塗り絵10問→800点代後半
- 塗り絵15問→800点
- 塗り絵20問→750点
- 塗り絵25問→700点
- 塗り絵30問→650点
- 塗り絵35問→600点
- 塗り絵40問→550点
TOEICで塗り絵をしてもOKな理由は以下の3つです。
- 塗り絵をしても目標スコアに届くことが多いから
- 解ける問題に時間を割いたほうが、自分の実力を発揮できるから
- 塗り絵をすれば多少は点数が期待できるから
TOEICのリーディングパートではどんな問題を塗り絵すべきかについては
Part5が
- 語彙問題で選択肢の単語の意味が2つ以上分からない
- 後半10問
Part6が
- 文挿入問題
Part7が
- NOT問題
- シングルパッセージ後半(No.165~175あたり)
- 推測問題
です。
TOEICの塗り絵問題を減らすには以下の5つの対策が有効です。
- 語彙を強化する
- 文法問題は形から解くようにする
- 時間配分を守って解ける問題だけを解く
- 各パートの塗り絵の数を決めておく
- 英語コーチングを受講する
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