ビジネス英会話レベルってどれくらい?到達するまでの期間は〇〇時間

英会話学習において1つの到達点とされる「ビジネス英会話」レベルですが、これは人によって解釈が分かれる曖昧な基準です。

また、学習を始めてからどれくらいの期間でビジネス英会話ができるようになるのか、というのも気になるところですよね。

この記事では以下の疑問に答えていきます。

・ビジネス英会話のレベルってどれくらい?
・ビジネス英会話が出来るようになるまで、どれくらいかかる?

Kai

現役の英語コーチが、論文をもとに考察していきます!

目次

ビジネス英会話のレベルってどれくらい?

結論から言うと、ビジネス英会話レベルはCEFRにおけるB2レベルだと言えます。

CEFRとはヨーロッパ言語共通参照枠組といって、あらゆる資格試験の評価の大本になっているものです。

例えば英検は1級、2級など級によって評価されますが、TOEICは990点満点のスコアで評価されます。

両者は級とスコアという異なる評価軸であるため比較が出来ないように思えますが、CEFRを用いれば比較が可能です。

例えば下の図を見ると、英検準1級はCEFR基準におけるB2レベルにあたり、これは同じB2レベルにあるTOEICスコア785〜945程度に相当すると言えます。

nisai Japanより引用・筆者が赤枠追加

このようにCEFRはあらゆる資格試験に共通した評価枠組みであり、今回はこのCEFRをもとに「ビジネス英会話レベル」がどのようなレベルなのかを考えていきます。

ビジネス英会話レベルで出来ることは?

冒頭でビジネス英会話レベル=CEFRのB2レベルだと述べました。

根拠として以下の図を見てみましょう。

こちらの図はCEFRにおいて「口頭でのコミュニケーションで出来ること」を初級レベルのA1から上級レベルのC2までのレベル別に分類したものです。

B2レベルの記述を引用・和訳すると以下のようになります。

“Can use the language fluently, accurately and effectively on a wide range of general, academic, vocational
or leisure topics, marking clearly the relationships between ideas. Can communicate spontaneously with
good grammatical control without much sign of having to restrict what they want to say, adopting a level
of formality appropriate to the circumstances.”

考えの関連性を明確にしながら、一般、学術、職業、娯楽の幅広い話題で、流暢、正確かつ効果的に言語を使用することが出来る。
状況に適した表現を用いながら、伝えたいことが不明瞭にならない程度に正しく文法を運用して、遅滞のない意思疎通が出来る。

“Can interact with a degree of fluency and spontaneity that makes regular interaction, and sustained
relationships with users of the target language, quite possible without imposing strain on either party. Can
highlight the personal significance of events and experiences, and account for and sustain views clearly by
providing relevant explanations and arguments.”
通常のやり取りが出来る程度の流暢性・同時性を持ち合わせ、対象言語を使用する会話相手に負担を掛けずに一定の長さの対話が十分出来る。
個人的に重要だと思う箇所を強調して出来事や経験を伝えることができ、関連する説明や議論を示しながら、明確に自分の見解を説明し裏付けることが出来る。

CEFR Companionより引用:訳は筆者加筆

これらのことができれば「英語でビジネスが可能」と考えて、今回はこのB2レベルをビジネス英会話レベルと定義しています。

B2レベルって資格試験でいうとどれくらい?

B2レベルというのはあくまで共通のレベル枠で、実際に自分がB2レベルに達しているかどうかは資格試験での判断ということになります。

以下の表は各種試験のB2レベルをまとめたものです。

英検TOEIC L&RIELTSTOEFL iBTTOEIC S&WVERSANTPROGOS
B2レベルの級・スコア
(中央値)
準1級785~940
(865)
5.5~6.5
(6.0)
72-94
(83)
310~360
(335)
58〜68
(63)
B2

国内で有名な試験として、英検は準1級、TOEIC L&Rは865点がB2レベルとなっています。

しかし、TOEIC、一般に広く受験されているTOEIC L&R試験はその名の通りリスニングとリーディングのレベルを測定する試験であり、英会話の能力を図るには不適であると言えます。

また英検も3級以上で課される面接試験はあれど、1級以外、あまりに試験形式が固定化されており英会話能力を測るには不十分です。

英会話の能力を図るために国内で気軽に受けられる試験としては、VERSANTPROGOSなどの試験があります。

VERSANTでは58~68、PROGOSではそのままB2がB2レベルに該当します。

また少し費用がかさみますが、IELTS、TOEFL、TOEIC S&Wなどの試験も英会話能力を測定するのに有用な試験だと言えます。

IELTSでは5.5~6.5、TOEFL iBTでは72~94、TOEIC S&Wでは310~360がB2レベルに該当します。

ビジネス英会話が出来るようになるにはどれくらいの期間がかかる?

結論から言うと、社会人からスタートしてビジネス英会話が出来るまでには約2,800時間かかります。

論文「日本人の英語学習時間について-これまでの学習時間とこれから求められる学習時間」で言及されている計算式によると、英語の知識ゼロからスタートした場合、日本人の学習者がビジネス英会話レベルの英語力を身に着けるまでには約5,000時間かかることになります。

大学卒業までに2,200時間の英語学習を行っているため、5,000-2,200でおよそ2,800時間の学習時間が必要だと言えます。

(参考)B2レベル達成に必要な学習時間の導出計算式
日本人の英語学習時間について : これまでの学習時間とこれから求められる学習時間より筆者が計算

・大学卒業までの学習時間=2,200時間(授業時間1,100時間+自習時間1,100時間)

・CEFR B2レベルまでの標準受講時間=500〜600時間
→これを日本人による英語学習に換算して3.7を掛けると1,850〜2,220時間(中央値2,035時間)の教育機関での受講が必要
→2,035時間のうち大学卒業までに1,100時間はすでに受講しているため、差分は2,035-1,100=935時間、卒業後に教育機関での受講が必要となる。
→独学(自習)の場合、授業1時間が自習2時間に相当すると仮定すると、935時間×2=1,870時間に加え、本来授業外で行うはずの935時間が必要となるため、1,870+935=2,805時間が大学卒業後に、独学でB2レベルに到達するために必要な学習時間となる。

・ゼロから学習をスタートした場合、卒業までの学習時間2,200時間を足した2,805+2,200時間=5,005時間がトータルで必要な学習時間と言える。

3000時間説はもう古い?

「ビジネス英会話 期間」というように調べると多くのサイトが「ビジネス英会話を習得するには3000時間かかる」としています。

この根拠となっているのは1974年にアメリカで行われた研究によるものです。

これがはアメリカの外務省が、狭き門を突破したエリート外交官向けに提供しているプログラムであり、1日8時間、2年間英語と近い言語を習得するのにかかった期間を計測したものです。

またこのプログラムで「習得」とされるレベルはC1レベル、つまりは英検1級レベルを想定しています。

このように、上記の研究は対象言語の習得難易度、学習者の知能、集中的な学習環境、到達点と主要な要素が、日本で一般的な学力の学習者がビジネス英会話レベルを習得するのとは大きく異なっています

これでは到底「日本人がビジネス英会話を習得するのに3000時間かかる」という根拠にはなり得ません。

今回、英語をゼロから始めた場合B2に到達するまでにかける学習時間は導出の結果、5,000時間となりましたが、到達目標がC1となれば話はかかる時間は大幅に変わりますし、大学教育までを受けた状態からの学習開始なのか、ゼロからなのか、によっても結果は大きく異なるので、自分のスタート地点を考慮した上で参考の数値としましょう。

まとめ

この記事では、「ビジネス英会話のレベルってどれくらい?」「ビジネス英会話が出来るようになるまで、どれくらいかかる?」という疑問に答えました。

まとめると以下のようになります。

ビジネス英会話レベルはCEFRのB2レベル
ビジネス英会話レベル(B2)に到達するまでには、ゼロからのスタートで3,000時間、大学卒業後からのスタートで800時間かかる

2,800時間も掛けられない…という方へ

この記事で紹介した大卒後、2,800時間という数値は量的な観点からは妥当性がありますが、あくまで一般的な学習者が独学で英語学習に取り組んだ場合を想定しており学習の質は重視されていません

そのため、個人に最適化された学習カリキュラムで英語学習を行えば、より早くビジネス英会話=B2レベルに到達することが出来ます。


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英語コーチングについて、詳しくは以下の記事でまとめていますのでぜひ御覧ください。

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この記事を書いた人

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TOEIC985・英検1級保有

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