リスニングで集中できないのはなぜ?原因と対策を本気で考えました。

皆さんは、英語のリスニングをしていて集中しているつもりが「集中できていない」と感じたことはないでしょうか?

第二言語習得理論をもとにこの現象を紐解いてみると、「集中力がない」という単純なことだけが理由ではないこと分かります。

この記事では現役の英語コーチである私が以下の疑問にお答えしていきます。

・英語のリスニングで集中できないのはなぜ?
・英語のリスニングで集中できないときにはどうしたらいい?

Kai

これを読めば、「なんとなく集中できていない感じがする」ということがなくなりますよ〜!

目次

リスニングで集中できない原因

リスニングで集中できないと感じる原因は以下の6つになります。

  1. 実力不足
  2. 周りが騒がしい
  3. 他のことを考えてしまう
  4. 日本語の語順に直している
  5. 一言一句聞き取ろうとしている
  6. 長い英文を聞くのに慣れていない
Kai

自分に当てはまっていないか、1つずつ確認していきましょう!

①実力不足

英語を教える仕事をしていての実感値ですが、「リスニングで集中ができない」と悩んでいる方の8割は英語の実力不足が原因です。

例えばゆっくりでカンタンな音源に切り替えて、聞き取れるならそれは集中ができないのではなく、教材に対して自分のリスニング力が不足しているだけです。

反対に言えば、明らかにカンタンな音源を聞いても上の空で別のことを考えてしまったり、そもそも環境音で音が聞こえなかったりする場合は他の要因を疑うと良いでしょう。

②周りが騒がしい

リスニングの際に、周りの音が騒がしいということはないでしょうか?

完全に無音という環境は英会話やリスニングの試験でもありえないので目指す必要はありませんが、

  • 家族の話し声がはっきりと聞こえてくる
  • 工事や外の道路の音で聞こえなくなっている

など明らかな集中の阻害要因が入る場合は、これらが集中できない要因となっている可能性が高いです。


ただし、前提としてほとんどの集中できない要因は環境によるものではなく、教材に対する実力不足です。

基準としては、流れてくる音源が日本語の音声だとしても聞き取れないレベルであれば環境のせいでしょうし、日本語なら聞き取れる場合は単純に英語力がないだけです。

③他のことを考えてしまう

私も経験がありますが、特に慣れない環境や試験本番などで邪念が次々と頭に浮かび、結果リスニングに集中できないことがあります。

これは母国語においても起こりうる話で、試合中など緊張感がある場面や慣れない場面では人の話が上の空で頭に入ってこないことがあります。

「集中しよう」と思えば思うほど、うまくリスニングができなくなります。

これは環境に対する不慣れさが原因です。

例えばいつも静かな自宅で一人でヘッドフォンでリスニングをしている人が、英検の試験会場で初めて行った場所で周りを知らないひとに囲まれて、遠いところから流れてくる音声を聞き取る場合、なかなか普段どおりのリスニング能力が発揮できず「集中できない」と感じやすいでしょう。

④日本語の語順に直している

リーディングの際に、きれいな訳を作って読む癖がある人はリスニングのときに流れてくる英文のスピードについていけず、意味理解に集中できていない可能性があります。

この場合は、正確に言うと「集中できていない」というよりは、「意味理解が遅い」ということになります。


意味理解が追いつかず、音はなんとなく聞き取れているつもりでも、聞き終わった後に内容が頭に残っていない、という経験はないでしょうか。

この場合は日本語の語順に直して理解しようとしているうちに、次の英文が流れてきてしまい意味処理が追いついていないことが「集中できない」と感じる原因です。

⑤一言一句聞き取ろうとしている

木を見て森を見ず、という言葉はリスニングにおいて、特に初学の方に見られる悩みです。

英文の中で一語聞き取れなかったときに、「あれ?今なんていった?あーでもない。こーでもない。。。」と考えているうちに思考停止して、その後の英文に集中して耳を傾けることが出来ません。

リーディングと違って、リスニングでは同じ箇所を止まって何度も聞き返すことが出来ないため、一言一句を聞き取ろうとするとどこかで聞き取れない単語が登場した時点で「あ〜、聞き逃してしまった…」と集中力が切れてしまいます。

⑥長い英文を聞くのに慣れていない

短い英文なら聞き取れるのに、長い英文になると途中から集中力が切れてしまう場合、長い時間英文を聞き取る練習が不足していると考えられます。

私自身、初めて4分を超える長さの音源を通しで聞いたときには、途中で集中力が切れてしまったことがあります。

これくらいの長さの音源というのは、資格試験などでは練習しない長さであるため、それまでは聞いたことがありませんでした。

ただでさえ、自分の容量ギリギリの英文の速さ・内容の音源を4分間集中して聞くのはなかなか体力がいるものです。

リスニングで集中できないときの対策

ここまではリスニングで「集中できない」と感じる原因を解説しましたが、ここからはそれらに対する対策を5つご紹介します。

  1. リスニング力を見直す
  2. 英語の語順で理解する
  3. マンブリングをして聞く
  4. 教材をカンタンなものにする
  5. 聞き取れる単語から意味を推測する
Kai

自分の悩みに合う対策を取ってみましょう!

①リスニング力を見直す

すでに書いたように「リスニングで集中出来ない」と感じる方のほとんとが、実際には集中力の問題ではなく、そもそものリスニング力に課題があります。

同じ環境で「ゆっくり、カンタンな」音源を聞いて理解できるのであれば、それは集中力ではなく、リスニング力の問題だと言えます。

この場合は自分のリスニングの弱点に合わせた学習に取り組むのが一番です。

下の図は第二言語習得理論におけるリスニングのプロセスを図式化したものです。

第二言語習得理論におけるリスニングのプロセス

まず勉強するのは図右下のデータベース「音素」「音声変化」の2つです。

音素とは/g/, /ʧ/, /ʤ/のような音の最小単位のことです。

音声変化とはan umbrellaが繋げて読まれることで「アン アンブレラ」から「アナンブレラ」と読み方が変化する、といったルールです。

自分が発音出来ない音は聞き取れませんから、まずはここを勉強しましょう。


次に図左の「音声知覚」を鍛えましょう。

日本人は学校英語でリスニングに割いた時間はリーディングの何分の一でしょうか?

音声知覚は思っているよりも初級レベルであることがほとんどです。

音声知覚のトレーニング方法は、スクリプト付きの英語の音源を何度も繰り返し聞いて音と内容が一緒に取れるようになるまで練習しましょう。

教材は初めて聞いて、7割くらい意味がわかるものが丁度いいです。


最後に図右の「意味理解」ですが、ここはしっかり学校英語をやってきた方には問題がないと思います。

スクリプトを「読んでも理解できない」という場合は、意味理解に問題があると言えるので、まずは文法・語彙、精読などのトレーニングを積んでいきましょう。

②英語の語順で理解する

英語の音は聞き取れているつもりでも、聞き終わった後に内容が頭に残っていない場合、集中力よりも英文解釈の方法を疑いましょう

学校英語のリーディングでは、英語を日本語の語順にきれいに直して訳出をすることが求められます。

これがリスニングでは弊害となります。

なぜなら、日本語と英語とでは語順が鏡のように反対になっており、日本語の語順に直そうとすると「後ろから、後ろから」訳を作っていくことになるためです。

リーディングならまだしも、後に何が読まれるか分からないリスニングでは「後ろから、後ろから」意味を取っていくことは出来ません。

英語を英語の語順のまま完結させて訳していくやり方でないと、リスニングで次から次へと流れてくる英文を処理し切ることは難しいです。

英文を前から意味の切れ目ごとに、区切って訳していくスラッシュ・リーディングを導入すると、この悩みは解決しやすいです。

③マンブリングをして聞く

普段は点数が取れるのに本番だと取れなくなる場合は、周囲の環境の変化に意識が飛んでしまいリスニングにうまく集中できていない可能性が高いです。

この場合マンブリングと言って、流れてくる音を自分でもブツブツとつぶやいてみるようにすると強制的にリスニングの音声に意識を向けることが出来るようになります。

試験会場では迷惑になるので、声には出していませんでしたが、英検の準1級の本番で苦い経験をしてからは試験会場では音を口パクで追いかけるようにしています。

④教材をカンタンなものにする

試験本番ではなく、日頃のリスニングの勉強の時点で集中力の不足を感じる場合は教材のレベルが高すぎる可能性があります。

たくさん音源に触れるのは英語学習において重要ですが、「意味が理解できるインプット」でないとただの雑音と変わりありません。

自分の実力で、最初の時点で7割ほど頭に内容が残る程度の教材を選ぶといいでしょう。

特に大学受験などをしっかりされてきた方はリーディングの能力の高さに対して、リスニング能力が大きく劣っているため、教材としては中学の教科書レベルからスタートするのが適切です。

⑤聞き取れる単語から意味を推測する

リーディングにおいても同じことが言えますが、一言一句、辞書無しで内容を100%理解することは不可能です。

第二言語習得者として、よくも悪くも「内容の正確さが誤差の範囲で分かればOK」くらいでないとやってられません。

リーディングでもたった一つの単語が分からないだけで、全体がまるっきりわからなくなる、ということはありえません。

一般的に英文に含まれる98%の単語の意味が分かれば、推測によりしっかりと英文の意図を理解できると言われています。

リスニングでは次から次へと英文が流れてくるので、分からない単語が来たときにいちいち立ち止まっていては、全体の意味を見失ってしまいます。

自分で聞き取れる範囲の単語から、文全体の要旨を掴むつもりでリスニングしましょう。

まとめ

この記事では以下の疑問にお答えしてきました。

・英語のリスニングで集中できないのはなぜ?
・英語のリスニングで集中できないときにはどうしたらいい?

1つ目の「英語のリスニングで集中できないのはなぜ?」に対しては以下の6つの原因を解説しました。

  1. 周りが騒がしい
  2. 他のことを考えてしまう
  3. 基礎能力が足りていない
  4. 日本語の語順に直している
  5. 一言一句聞き取ろうとしている
  6. 長い英文を聞くのに慣れていない

2つ目の「英語のリスニングで集中できないときにはどうしたらいい?」に対しては以下5つの対策を紹介しました。

  1. リスニング力を見直す
  2. 英語の語順で理解する
  3. マンブリングをして聞く
  4. 教材をカンタンなものにする
  5. 聞き取れる単語から意味を推測する
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この記事を書いた人

現役の英語コーチ・講師が英語学習に関するお役立ち情報を発信中!
TOEIC985・英検1級保有

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