TOEICと英会話は関係ない?社会人はどっちを勉強すべき?

「TOEICスコアが800あるのに、英語が話せない」というのはよく聞く話です。反対に「TOEICスコアが550なのに、英語が話せる」という人もいます。

この記事では以下の悩み・疑問に答えていきます。

  • TOEICスコアが高くても英会話ができないのはなぜか?
  • TOEICの勉強は英会話に役立たないのか?
  • 社会人はTOEICと英会話のどちらを優先して勉強すべき?
目次

TOEICスコアが高くても英会話はできないのはなぜ?

TOEICスコアが高いのに英会話ができないのは以下の3つの理由が原因です。

  1. TOEICはインプットの能力を測る試験だから
  2. 例文データが不足しているから
  3. アウトプットの学習が少ないから

TOEICはリーディング・リスニングの能力を測る試験だから

英語の運用能力にはリーディング・リスニング・ライティング・スピーキングの4つの技能があります。

一般的に言うTOEICはTOEIC L&Rを指します。これはその名の通りリーディングとリスニングの能力を測る試験です。
一方英会話で求められる力はリスニングとスピーキングの能力です。
どちらもリスニングという点では共通していますが、TOEIC L&Rでは英会話で必要なスピーキングの能力を測ることはできません。

ですから、TOEICのスコアが高い=インプット能力が高いことの証明にはなりますが、英会話(スピーキング)ができるということにはならないのです。

インプットとアウトプットの力に大きな差があるから

TOEICハイスコアで英語が話せない人はインプット知識は多いが、アウトプット知識が少ない。TOEICスコアが低くても英語が話せる人はインプット知識は少ないが、アウトプット知識は多い。

上の図は「TOEIC900でも英会話が苦手な人」と、「TOEIC550程度でも英会話が得意な人」の知識量を表した図です。外側の円は知っている知識の量を表し、内側の円は英会話でも使えるレベルの知識の量を表しています。

「TOEIC900でも英会話が苦手な人」は、知っている知識が多いためTOEICなどのインプットの知識量を測定する試験でハイスコアを出すことができます。
しかし、そのなかでスピーキングでも瞬時に引き出せるレベルの知識は多くありません

一方「TOEIC550程度でも英会話が得意な人」は、知っている知識は多くないためTOEICのハイスコアは取れませんが、その知識のほとんどがスピーキングで使えるレベルになっています。

つまりTOEICがハイコスアでも英語が話せないのは、知っている知識と使える知識の差が大きいからであると言えます。

アウトプットの学習が少ないから

TOEICハイスコアでも英会話が苦手なに人の多くは英会話にかけている時間が少ない傾向にあります。
インプット学習をひたすら続けていれば、TOEICのスコアが上がっていきますが、英会話は出来るようにならないでしょう。

英会話を上達させるためには、学習時間の2割程度はアウトプットに充てるのが理想です。
例えば1日1.5時間で週10.5時間ほど勉強するとしましょう。すると1週間で平均約2時間程度はアウトプットに時間をかける必要があります。1回あたりの英会話レッスンを25分とすると、週5日毎日25分英会話をするのが適切な時間配分と言えます。

TOEICの勉強は英会話に役立つのか?

結論から言うと、TOEICの勉強は英会話に役立つが必要十分ではないと言えます。
理由は以下の4つです。

  1. 基礎は共通しているから
  2. 英会話にもインプット学習は必要だから
  3. TOEIC対策ではアウトプットがないから
  4. 手続き的知識が必要だから

基礎とリスニングは共通しているから

TOEICと英会話、発音・語彙・文法というのは両者に共通して必要な基礎です。
TOEICの勉強をしていると、自然と発音・語彙・文法を学ぶことになりますから、特に学習の初期に学ぶ事項はそのまま英会話でも必要な知識となります。

またTOEICと英会話ではどちらもリスニングの能力が共通して求められますから、TOEICのリスニング学習は英会話の聞き取りにおいても非常に有効だと言えます。

英会話にもインプット学習は必要だから

前述の通り、英語学習の黄金比率はインプット8割・アウトプット2割です。
たとえ英会話を伸ばしたくても、英会話だけしていればいいわけではありません。そのためTOEICの学習=インプットの時間は英会話能力の向上においてもプラスに働くと言えます。

TOEIC対策ではアウトプットがないから

一方で、TOEIC対策「だけ」をしている場合、アウトプットの時間がないため「インプット8割:アウトプット2割」の法則を守ることができません。
TOEICの対策としては「語彙・発音・文法・リーディング・リスニング」といったインプット学習を行いますが、話す・書くといったアウトプットの時間はありません。
すでに紹介した通り、英会話の上達には学習時間の2割をアウトプットに割く必要があるため、TOEIC対策だけでは英会話の能力向上には繋がりづらいと言えるでしょう。

手続き的知識が必要だから

第二言語習得理論では、読んだらわかる・聞いたらわかるというレベルの知識を「宣言的知識」、瞬時に書ける・話せるレベルの知識を「手続き的知識」と呼んでいます。

英会話で求められるのはこのうち手続き的知識の方ですが、これは宣言的知識よりもさらに繰り返し学習が必要になります。
例えば、関係代名詞を使った文法問題を解ける、文章を理解できるというのは宣言的知識です。そして関係代名詞を使った文章を即座に作ることができるならばそれは宣言的知識です。
スピーキングにおいては、関係代名詞が「わかる」だけでは不十分で、実際に「使いこなせる」ようになるためには、瞬時に出てくるようになるまでさらに繰り返しドリル学習をする必要があります。

TOEICの学習は宣言的知識の獲得がメインになるため、英会話ですぐに役立つような手続き的知識の学習が不足してしまいます。

TOEICと英会話はどちらを優先して勉強するべき?

結論から言うと、TOEICスコアや勉強の目的から以下のように決めるのがおすすめです。

・TOEIC550未満
→基礎学習学習に専念

・TEOIC550以上で簡単な英会話が出来るようになりたい
→英会話学習に専念

・TEOIC550以上で期間的な余裕がある人 / とりあえず英語力を高めておきたい人
→TOEIC(インプット)学習と英会話学習(アウトプット)を並行

Kai

1つずつ詳しく見ていきましょう!

TOEICの学習に専念したほうがいい人の特徴

・TOEICが550未満の人
・TOEICが550以上で、スコアアップが必要な人

TOEICが550に満たない人は、まずTOEICの勉強、というよりも英語の基礎的な内容に絞って学習を進めていくのがおすすめです。

英語の基礎となる「発音・単語・文法」は英会話とTOEICに共通する基礎の知識です。

TOEICはスコア550が国際指標のCEFRにおいて、B1=脱初心者レベルとされています。

ここに満たないうちは、まだ初学者であり、基礎的な知識が不足しているということが言えます。

B1未満の人はまず、発音・単語・文法を勉強した後、TOEICが550になるまではリーディング・リスニング学習に注力していくのがおすすめです。


ちなみにこの時点ではTOEICの英文や音源はレベルが高すぎるため、TOEICの問題集などを教材に使う必要はありません

あくまで基礎学習→高校レベルのリーディング・リスニングの学習の成果確認として、自然とTOEICが550を超えたら、最低限の基礎が整ったと判断できるレベルになったと言えます。


TOEICが550を満たしている場合で、さらにTOEICのスコアを最優先で伸ばしていきたい人はこのままインプットに特化していくことになります。

TOEICを伸ばすことで、昇進・昇格、就活、転職、受験において手っ取り早く高い評価を得ることが出来ます。

TOEIC対策といっても、基礎レベルを終えたばかりの人がいきなりTOEICの教材で勉強するのはレベルがかけ離れているので、徐々にリーディング・リスニング教材のレベルを上げていき、試験前にはTOEICの過去問をたくさん解いていくことになります。

英会話の学習に専念した方がいい人の特徴

・TOEICが550以上で、簡単な英語が話せるようになりたい人

TOEICで550が特に対策をせずに取れるようになったら、基礎は完成です。

ここからはようやく、英会話の学習に取り組めるようになります。

日常英会話でのやり取りを目標とする場合、TOEIC550を超えるような語彙や構文は不要です。

むしろそれまでに培った中学〜高校基礎英語を「知っている」レベルから「使いこなせる」レベルに引き上げる作業の方が重要です。

TOEICが550を取れている場合は、英語の基礎知識を「知っている」と言えます。

しかし、中学英文法・英単語を「使いこなして」瞬時に英文を話すことは出来ないはずです。

基礎知識を繰り返し、口をついて出るようになるまで練習しながら、英会話の実践を行うといいでしょう。

TOEICと英会話の学習を並行したほうがいい人の特徴

・TOEICが550以上で、期間的な余裕がある人
・TOEICが550以上で、とりあえず英語力を高めておきたい人

TOEICスコアが550以上で、直近で英会話やTOEICのスコアを上げる必要がない場合は、両者を並行して進めていくのがおすすめです。

第二言語習得理論からすると、インプット8割・アウトプット2割が英語学習の黄金比率です。

インプットというのは単語・文法・リーディング・リスニングといった受動的な活動で、アウトプットとは英会話・英作文などの産出的な活動を指します。

ですから、試験が迫っているなどの理由がない場合はTOEIC対策となるインプット学習を8割、英会話などのアウトプット学習を2割行っていくのが理想です。

いわば王道ルートとも言えます。

特に、「今すぐに英語を使うわけではないけれど、今後のキャリアアップに繋げるために勉強しておきたい」という方は、この王道ルートで学習を進めておけば、いざというときにもTOEIC・英会話両方で高い成果を出すことが出来るようになるはずです。

TOEICと英会話の優先順位に関してよくある質問

TOEICと英会話を並行して勉強することは可能ですか?

はい。
英語学習の黄金比率はインプット8割、アウトプット2割です。
TOEICはインプットの勉強、英会話はアウトプットの勉強になります。
ですから両者を割合を守りながら並行して進めるのが効率の良い英語学習と言えます。

1日の勉強時間が30分しか取れない場合でも、TOEICと英会話の勉強を並行できますか?

はい。
1日の中でインプット8割・アウトプット2割は難しいかも知れませんが、例えば週単位で調整するのも1つの手です。
例えば平日はインプット、休日はアウトプットとして英会話に取り組むなどで調整出来そうですね。

TOEICと英会話を並行して勉強するメリットとデメリットは?

メリット

  • 黄金比で勉強することで、バランス良く英語力を伸ばしていくことができる
  • 勉強に飽きが出づらい

デメリット

  • 資格試験などでの即効性がない
  • 複数の勉強を並行する必要がある
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この記事を書いた人

現役の英語コーチ・講師が英語学習に関するお役立ち情報を発信中!
TOEIC985・英検1級保有

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