TOEICのパート別解説もリスニングパートは残すところパート4のみとなりました。
まだパート1〜3の解説記事を読んでいない方はこちらからどうぞ。
パート4は文章の量・質ともにリスニングパートでもっとも重いです。
出題の傾向と試験本番で使える解き方を紹介しますので、しっかり対策しておきましょう!
TOEIC L&R Part4の出題内容
![](https://keizokushitai.com/wp-content/uploads/2021/01/art-lasovsky-8XddFc6NkBY-unsplash-e1610858117996.jpg)
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TOEICのPart4はQ71~100までのリスニング30題で構成されます。
1題につき3つの設問があるので、10の英文×3つの設問で30題となります。
こんな感じで設問の英文が並んでいます。(もちろんリスニングのスクリプトは見れません!)
ここでは省略していますが、A~Dにはそれぞれ選択肢となる英文が書かれています。
1-1. Where does the speaker likely to work?
A._________________________
B._________________________
C._________________________
D._________________________
1-2. What problem is happening?
A._________________________
B._________________________
C._________________________
D._________________________
1-3. What are listeners asked to do?
A._________________________
B._________________________
C._________________________
D._________________________
放送された英文をもとに正しい選択肢をA~Dの4つ中から選びます。
音声は問題文と設問の両方が読まれますが、選択肢は読まれません。
問題文を読み終えてから、設問につき13秒の解答時間が与えられるので、1題あたり39秒使えます。
上の例題を見てください。
以下の流れで問題を解いていきます。
1-1では話者がどこで働いているか、が聞かれています。
例えば「我々が担当した製品の広告が順調だ」とか「自動車工場を海外に移設することが決まった」など放送される音声には話者の勤務先が予想できるようなヒントが含まれています。
前者だと広告代理店、後者だと自動車メーカーあたりが答えになるでしょう。
1-2ではどんな問題が起きているかを聞かれています。
「顧客から先日注文した商品が届いていないという報告があった」とか「台風の影響で飛行機が飛ばない」など何かしらのトラブルが文中に出てくるはずです。
1-3では聞いている人たちは何をするよう求められているかを聞かれています。
後で詳しく解説しますが、パート4はパート3と違って登場人物は話者1人のみです。
声を読み上げている「話者」とその場で音声を聞いているであろう「聞き手」が存在します。
聞き手は一言も発しませんが、自分が聞き手になったつもりで「これから何をしたらいいか」を答えましょう。
TOEIC L&R Part4の特徴
パート4の特徴はそのほとんどがパート3と同じです。
違いは「登場人物の人数」と「文章量」のみです。
TOEIC Part4の特徴
- 設問と選択肢が試験問題に書かれている(パート3と同じ)
- 登場人物が1人
- 一文が長く、文章量が多い
- 発言の意図を答える問題がある(パート3と同じ)
- 図表を見て答える問題がある(パート3と同じ)
1つずつ詳しく見ていきます。
設問と選択肢が試験問題に書かれている
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パート4ではパート3同様「設問と選択肢が試験問題に書かれている」のが特徴です。
いい面としてはこれから流れる音声の内容の予測が立てられます。
例えば設問に「Mr.White」という単語があれば、「Whiteさんについての話が出るぞ」と名前を聞き取る準備ができます。
悪い面としては解答の際に求められる英文処理が多くなることです。
パート1,2では聞いた内容から答えを導いて解答終了でしたが、パート3, 4では英文を聞き、設問・選択肢を読んだ上で解答する必要があります。
テクニック編で詳しくお話しますが、パート4は試験用紙に設問があるため「先読み」が鍵を握るようになります。
登場人物が1人
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パート3とパート4は共通している部分が多くあります。
まとまった文章が読まれる、設問が紙に書いてある、選択肢が4つ、図表・意図問題が出題される、など多くの点が共通しています。
しかし、決定的な違いがあります。
それは「パート4は登場人物が1人」ということです。
パート3では2人、もしくは3人の会話が放送されました。
しかし、パート4では英文を読むのは1人だけです。
ですから、読まれる英文のシチュエーションとしては「商業施設内のアナウンス」「ミーティングの始めのアジェンダ説明」「留守電へのメッセージ」など相手からの返答を期待しないものに限定されます。
TOEICを受験する我々は架空の「聞き手」になったつもりでメッセージを聞き、解答します。
このモノローグ形式のメリットは2つです。
パート4のモノローグ形式のメリット
- 誰が話しているのかを考えなくていい
- 話している最中に事件が起きない
パート3では話し手が複数いるので、登場人物の立場、性別そして3人のときには「今誰が喋っているのか」を逐一切り替えながらリスニングをしなくてはいけません。
しかし、パート4では1人がずっと話しているので、その必要がありません。
流れてくる音声だけに集中していればいいので、これはモノローグ形式最大のメリットと言えます。
また、聞き手の返答がないため予想外のことが起きません。
例えばパート3では「週末サーフィンに行かない?」と言って「週末は台風が来るらしいから辞めとこう」と返答があり、さらに「じゃあ代わりに屋内でできるイベントをしよう」というように話が二転三転します。
モノローグでは話す内容が予め決まっているので、聞いていて楽です。
一文が長く、文章量が多い
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しかし、パート4のモノローグ形式には1つ大きなデメリットがあります。
それは「一文が長く、文章量が多い」ということです。
みなさんも相手ありきの日常の会話では一文を長くすることはありませんよね。
会話はキャッチボールですから短い文章を相手とリズムよく交換していきます。
しかし、パート4は「アナウンス」や「司会進行」など話し手が一方的に話を展開するため、文章量が多くまた一文も長くなります。
これにより、パート4では長い文章を聞いて瞬時に意味を捉える能力が不可欠になります。
発言の意図を答える問題がある
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まずは次の文を見てください。
What does the woman imply when she says, “you lived in Kyoto, didn’t you”?
この設問は「あなたは京都に住んでいたんですよね?」という女性の発言の意図を答えなくてはいけません。
例えばこの発言の前後の文脈が、観光の計画であれば「あなたは京都の観光地に詳しいはずだ」というのが発言の意図になります。
一方、発言の前後の文脈が方言の話であれば「京都出身ならば関西弁を話すはずだ」というのが発言の意図になります。
つまり、文字通りの意味でなく文脈を正しく理解した上で発言の意図を汲み取らなくてはいけない問題です。
図表を見て答える問題がある
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パート4では、図表を見て答えなくてはいけない問題があります。
パート3で出題される図表問題の例
Product | Price |
NPX-203 | $345 |
CW-405 | $390 |
SK-2003 | $450 |
GP-553 | $500 |
Look at the graphic. Which device will they buy?
A. NPX-203
B. CW-405
C. SK-2003
D. GP-553
例えば上の設問では英文を聞いた上で、図表を見て登場人物がどの装置を買うと考えられるかを答えます。
この手の問題ではリスニングの音声を聞き取れただけでは解答できません。
例えば英文中で「$400の予算内で一番高価格なものを購入する」という旨の発言があったとします。
このとき、英文中に商品の型番は流れません。
図表を見てはじめて「$400の予算内で一番高価格なもの」は「CW-405」ということがわかります。
このように図表問題ではリスニングと図表の読み取りの合わせ技が求められます。
TOEIC L&R Part4で使えるテクニック
ここからはパート4で実際に僕が実践している解き方を紹介します。
予めお伝えするとパート4の解き方はパート3と全く同じです。
パート3の記事を既に読んでいるという方は復習のつもりで読んでみてくださいね。
TOEIC Part4のテクニック
- 先読み時間を生み出す
- 選択肢は先読みしない
- 図表問題と意図問題の先読みを優先する
- 聞き取れなかった問題は切り捨てる
先読み時間を生み出す
![](https://keizokushitai.com/wp-content/uploads/2021/01/priscilla-du-preez-6K2z5R3vY-o-unsplash-scaled-e1610858251730.jpg)
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前述の通り、パート3からは設問と選択肢が試験用紙に書かれています。
音声が流れる前にこれらに目を通すことで英文の内容を予測したり、何が問われるかを知ることができます。
いわゆる「先読み」と言われるテクニックです。
パート3はリスニングの音声1つにつき3つの設問があり、それぞれ解答時間が13秒与えられています。
つまり、1つの音声につき39秒の解答時間があるわけです。
これを1題解答するのにフルに使ってしまっては先読みはできません。
理想は26秒で1題をとき終えて、残りの13秒で次の問題の下読みに入るという時間配分です。
3問目の設問が読み上げられるまでに解答を終えて、3問目の設問が読まれているうちに次の問題の先読みに取り掛かりましょう。
選択肢は先読みしない
![](https://keizokushitai.com/wp-content/uploads/2021/01/possessed-photography-7tMrynb3aS0-unsplash-scaled-e1610858215787.jpg)
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パート3では先読みが重要と述べましたが、選択肢は先読みしなくて大丈夫です。
理由は2つです。
- 時間が足りない
- かえって混乱する
まず、13秒の中で3つの設問の問題文と選択肢全てに目を通して理解するのは時間的に厳しいです。
それと、選択肢を読むと情報量は増えますが混乱します。
4つの選択肢の内、3つの選択肢は誤っている内容です。
4分の3間違っている情報に時間を割くのはナンセンスです。
これらの理由から選択肢の先読みはオススメしません。
![](https://keizokushitai.com/wp-content/uploads/2021/01/fr2_20191011_114647.png)
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ちなみに僕は選択肢を読むと設問の内容を忘れてしまうので
読んでいません!
図表問題と意図問題の先読みを優先する
![](https://keizokushitai.com/wp-content/uploads/2021/01/weston-mackinnon-dICllp7fTzw-unsplash-scaled-e1610858298425.jpg)
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パート3で出題される図表問題と意図問題は、先読みが鍵を握ります。
というか先読みしないと解答が難しいです。
まず、意図問題は” “の中の発言の意図を前後の文脈から考えます。
What does the woman imply when she says, “you’re familiar with, hasn’t it”?
例えば上の設問では“you’re familiar with, hasn’t it”の発言の意図が問われています。
この文章はそのまま音声で流れますから、ここをしっかり先読みしておくとこの前後の流れに集中してリスニングができます。
次に図表問題です。
図表問題ではリスニングの音声と手元の図表を頼りに解答をしていきます。
パート3で出題される図表問題の例(再掲)
Product | Price |
NPX-203 | $345 |
CW-405 | $390 |
SK-2003 | $450 |
GP-553 | $500 |
Look at the graphic. Which device will they buy?
A. NPX-203
B. CW-405
C. SK-2003
D. GP-553
上の例では選択肢が商品名になっています。
リスニングの音声ではっきりと「この値段のものを買います」ということはありません。
「予算が400ドルだからその中で一番いいものを買おう」とか「2番目に高いものを買おう」とか図表を使わないと解けないようになっています。
この設問の選択肢は商品名なので、価格のほうが音声でヒントとなることが予想されます。
この図表を先読みしておけば、リスニング中予算などの具体的な金額や価格の順番などに備えておくことができます。
こう考えると、意図問題と図表問題の先読みは結構しっかり目にやらなくてはいけないことが分かります。
しかし、時には13秒の先読み時間で3つの設問に目を通すのが難しいことがあります。
その場合は意図問題と図表問題の先読みを優先させましょう。
他の設問は目を通さなくてOKです。
3つの設問のうち、意図問題と図表問題はどちらか1つだけなのでこの2つが出た時はここだけ先読みしておくだけでいいです。
![](https://keizokushitai.com/wp-content/uploads/2021/01/fr2_20191011_114647.png)
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僕は割り切って図表・意図問題の時は、他の2つは目を通す程度にしています。
それで困ったことはありません!
聞き取れなかった問題は切り捨てる
![](https://keizokushitai.com/wp-content/uploads/2021/01/markus-spiske-LVieFk4bJSo-unsplash-1-scaled-e1610858178318.jpg)
![](https://keizokushitai.com/wp-content/uploads/2021/01/markus-spiske-LVieFk4bJSo-unsplash-1-scaled-e1610858178318.jpg)
リスニングでの鉄則は「先読みのリズムを崩さない」ことです。
聞き取れなかった音声があるときや、解答に自信が持てない時「あれ、これなんて言ってたっけ?」と解答に時間を割いてしまうのはNGです。
気持ちはわかりますが、先読みの時間を削ることは「ぜったい」しないでください。
リスニングは聞き取れなかったら多分解けません。
それよりもその問題に時間をかけたせいでリズムが崩れて先読みができなくなる方が問題です。
聞き取れなかったらその問題はもう諦めて、次の設問の先読みに行くようにしましょう。
まとめ
この記事ではTOEICの最後のリスニングセクション、パート4の出題内容と特徴そして試験で使えるテクニックを紹介しました。
TOEIC Part4のまとめ
- 設問と選択肢が試験問題に書かれている
- 登場人物が1人
- 一文が長く、文章量が多い
- 発言の意図を答える問題がある
- 図表を見て答える問題がある
- 先読み時間を生み出す
- 選択肢は先読みしない
- 図表問題と意図問題の先読みを優先する
- 聞き取れなかった問題は切り捨てる
パート3の記事を見てもらった方はお気づきかもしれませんが、パート3と4はかなり出題が似通っています。
違いは「登場人物の人数」と「文の長さ」だけです。
図表・意図問題なども共通して出題される点も含めて、対策や解き方もほぼ同じです。
パート4はパート3同様、問題数も多く難易度も高い問題が揃っているので日ごろの学習の成果が試されます。
試験本番で十分自分の実力を発揮できるよう対策しておきましょう!
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